第19話 エピローグ
「あれ、私は今まで何を?ここはどこ?そういえば、リザードマンと戦って・・天国がここ?加賀見さんと田崎さんがいる。二人も負けちゃったんですか!?」
「いや~、よく寝た。あれ、加賀見さん。どうしたんすか、そんな泣いちゃって。まさか、俺の勝利が嬉しすぎて泣いちゃったんですか?俺たちが負けたって川上さんそんなわけないでしょう。って、川上さんのお化け!?」
「お化けなわけない!・・のかしら。私の記憶だとあそこから助かるわけないし。あれ、私お化け?」
二人が、やんややんやと言い争いをしているのを見て、生きていてくれたことを実感する。
勿論他の参加者も助けることができるのがベストであるが、「亜空庫」に収容できてしまった以上、手遅れであるし、冷たいようであるが、関係が深い二人が生きていてくれて本当に良かったと思う。
「「加賀見さん、どうなっているんです(か)?」」
二人の質問に私は経緯を説明する。
二人からは、貴重なエリクサーを使用したことへの礼と、勝利への労いをもらった。
そして、二人の生き残った理由を説明すると、川上さんは自分がお化けでなかったこと、リザードマンへの感謝を口にした。
「リザードマンさん、助けてくれんですね。ありがとうございます。お化けじゃなくて本当に良かったわ。」
田崎さんは、あの状況で敗北していたことを知り、ものすごいショックを受けており、orzのポージングから動かなくなってしまった。
「俺、あんなかっこつけて、負けたの?えっ?」
そうして、長話をしていると痺れを切らした奴が急かしてきたので、残りもう一つの選択報酬は「②戦いで身に着けていた防具一式(新品)」と決めて、この場を後にすることになった。
そして、視界が暗転し、元のホールへと戻ってきた。
他のクリアしたプレイヤーもいるようだが、皆表情は明るくはない。
数多くのプレイヤー、そして全滅してしまった故に2割のペナルティを受けた国をのことを考えると私も気が滅入る。
「やあ、皆。報酬はもらい終わったかな。今回のゲームもいよいよ終わりだよ。笑い有、涙有の楽しい時間だったねw」
楽しい?そんなわけがあるか。
プレイヤー全員の心が一致したであろう、奴の言葉であるが、誰も発言せずに聞き流す。
「あれ?反応がないや。まあ、いいか!それじゃあ、次のゲームの舞台でもある、今後の世界について、説明するからね。ちゃんと聞いてよ。」
奴の説明は、とんでもないものであった。
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■ゲーム:ダンジョンはロマンさ 永遠のね
ルール
・ダンジョン攻略
・発生条件:ランダムで国のどこかに発生
※前ゲームの世界報酬により、発生は1年後から
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■ダンジョン
・ダンジョンは、ランクがあってそれぞれ中の難易度が異なる
S~Iランクまでの全10段階
・ランクが高いほどに報酬等が変わる
・ダンジョンの攻略は、最終層のボスを倒すことによって可能
・ダンジョンは、攻略すると消滅するインスタントダンジョンと、消えずに残る通常ダンジョンがある
・ダンジョンの攻略は時間制限があり、それまでに攻略できないと、ダンジョンからモンスターがあふれ出す、「スタンピード」が起こる
・スタンピード時は、モンスターのランクがダンジョンのランクよりも高くなる
・消えずに残るダンジョンは、一度攻略すれば、以降スタンピードは発生しない。
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ルールには終了条件の記載がない。
まさかと思いつつ、奴に聞いてみる。
「次のゲームには、終了条件がないようですが、記載漏れでしょうか?」
「終了条件はないよ。しいて言うなら、僕が飽きた時点さ!」
予想はしていたが、最悪である。
つまり、世界の仕組みはがらりと変えられてしまうということだ。
「あ~、それとね。半年後に追加ゲームをします。理由は僕が一年間暇だから!参加者とルールはこれね。」
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■ゲーム:チーム力で生き残れ 3泊4日のモンスター島サバイバルツアー
〇ルール
・モンスターが生息する島でのサバイバル
・クリア条件:ゲーム開始から3回目の朝9:00を迎える
・参加者:各国から6人を選出
選出方法
1.「戦いはやっぱり1on1だよね」でクリア者がいる場合:クリア者に6人の選択権有
2.1.の該当者がいない場合は、各国の代表者(首相、総理大臣等)に選択権が移行
3.1.2.も該当者がいない場合、もしくは、6人がゲーム前までに決まっていない場合は、ランダムに不足人数を選出
〇報酬
・世界報酬(今回の参加者の1人でも達成で取得)
1.無
・国報酬(今回の参加者の国代表の1人でも達成で取得)
1.通常ダンジョン(資材)の設置
2.国ポイントの獲得
・個人報酬
1.個人ポイントの獲得
2.ゲームクリア時の各種条件達成による追加報酬
〇ペナルティ
・国単位でクリア者がいない場合
国のどこかに、Iランクのインスタントダンジョンを3か所設置
スタンピードまでの猶予期間:1週間
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「追加ゲーム?加賀見さん、これは・・」
「ああ。神の奴は、また面倒なことをしてくれる。選択権だと。そんなものトラブルの元じゃないか。」
溜息を吐くが、仕方がない。
今回のゲームで理不尽をこれでもかと受けたせいで感覚が麻痺しているのか、簡単に諦めの境地に至ってしまった。
奴は、その後いくつかの追加の説明をした後、ついに今回のゲームが終わりに向かう。
田崎さんと川上さんとは、連絡先を交換し、ゲーム後に一度落ち合うことにした。
そうこうしている内に、奴が突然、ステータスの記載変更について告げてきた。
「そうそう、ステータスにレベルが表記されるように変更したから、帰ったら確認してみてね。今回の戦いの結果のレベルアップも反映しているよ。流石に、素の人間の能力では、厳しかったね。僕反省。」
レベルだと?
よくあるゲームでは、レベルが上がるとステータスがあがったり、スキルを覚えたりするものだが、同じものなのか?
反省とか言っているが、そもそも今回の戦いでは、皆レベルは初期値で素の人間の能力でしかないため意味ないだろうし、反省するなら、もっと難易度を下げるとかにしろ。
相変わらず適当なことを言う奴だと呆れていると、奴は最後の挨拶を始めた。
「それじゃあ、一旦君たちとはお別れだ。またすぐに会えるけど、その時も僕が楽しめるように全力でゲームしてほしいな。good bye!!」
そう奴が宣言すると、視界が暗転し、元の場所に戻ってきたようだ。
暑くてしょうがないが、見慣れたコンクリートジャングルの景色に、私は無事に戻ってこれたと安堵する。
この後の世界もかなり大変なことになることが予想される。
それでも、乗り越えていくしかない。
私は崩れていく日常の音を感じながら、新たな決意をするのであった。
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第一章 完
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作者コメント
この後、いくつか閑話挟みつつ、次の章にうつります。
初投稿でつたない文章ですが、少しでも楽しんでもらえたら幸いです。
応援、レビューいただいた方はありがとうございます!!
返信は基本出来ないので、申し訳ありませんが、いただけたコメント等は読ませていただきます。
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