第4話 奴の”目的”

 「ついに、来たか。」


 私が、そうつぶやくと。

 

 「今の声が、加賀見さんに接触した、「神」であっていますか?」

 「はい、私に接触してきた「神」になります。」


 私たち以外の人々も、突然聞こえた、神という言葉に騒然としている。


 「じゃあ、奴が黒幕」


 田崎さんは憤りを隠せない様子で、つぶやく。

 いきなり拉致されたのだから無理はないが、一応冷静になるように話しかける。


 「田崎さん、怒りはもっともですが、あの「神」を名乗る存在は、我々を一瞬でこのような場所に連れてくるような存在です。周りの様子を見るに、一言ですべての人に言葉が通じているようにも見えます。他にも何ができるかわかりませんから、まずは落ち着いて情報を聞き出しましょう。」


 田崎さんは、一度深呼吸をして、


 「そうですね。得体のしれない力があることは間違いなさそうですし。まずは、安全の確保と、情報取集ですね。ありがとうございます。」


 そうこうしているうちにが話を始める。


 「君たちが静かになるのを待つ気はないからね。聞きそびれた人は知らないよ。」


 この言葉に、騒めきはかなり静かになった。


 「うんうん、good boyだね。君たちは色々聞きたいだろうけど、いちいち質問に答えるのも面倒だし、とりあえずこちらが話したい事だけ話すからね。よろしく~。」


 奴の言ったことを簡単にまとめると以下になった(⇒が回答)。

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■連れてこられた人

 ・人種は問わない 

  ※田崎さんが調べた形だと、アメリカ系、ヨーロッパ系、アジア系など様々

  ⇒全世界から集めてるよ、正確には君たちの世界でいう国単位だね。

 ・人数は不明

  ※多すぎてわからない ただ日本人は見かけたのは数名らしい

  ⇒各国から10人をご招待! やったね、選ばれし10人 

   選考基準は無いよ、適当に選んでるよ

 ・目的は不明

  ※私の情報で神と名乗るものがいることは分かったが、目的はいまだ不明

  ⇒


■連れてこられた場所

 ・黒い空間の詳細は不明

 ⇒黒い空間は、ちょっとしたテストかな 

  あの空間にいることが、この後の目的に関連してま~す

 

・現在の場所も詳細不明

  ※食料と水は、中央や壁際にあるらしく、一応安全らしい

 ⇒このホールも待機場所だね。これから本当の場所に招待するよ。

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 ここまで、奴は一気に話をしていたが、肝心の”目的”が見えてこない、ほかの人もそう思ったのか、ガタイの良いA国人と思われる男性から


 「お前の目的は何なんだ?」


 という、シンプルな質問が飛んだ。

 その質問を皮切りに、あちらこちらから、目的や元の場所に返せなど多くの罵声交じりの言葉が飛び交い、収集がつかなくなってしまった。


 これは、時間が解決するしかないかと、私が思ったとき、”パキッ”という音のようなもの聞いた。

 そう思ったときに私は地面に突っ伏していた。

 いや、私だけではない、田崎さんもさっきのA国人も見える範囲すべての人が同じ状況のようだ。


 「なんか、うるさいな。そもそも質問する権利はいつ与えたんだっけ?」


 奴は何でもないかのように言っているが、この状況は奴が作り出したのだろう。

 改めて底の見えない力に内心戦慄していると、


 「目的だっけ? まあ、答えてあげるよ。それはね・・」


 端的に、そうただ一言答えた。


 「だよ。」

 「僕はね、ゲームをしたいんだ。今まで、この世界を見てきたけど、面白くないんだ。全然面白くない。だから、君らの娯楽のゲームをまねて、僕もゲームをしたくなったんだ。ジャンルはファンタジーだね。ダンジョンやモンスター、魔法やスキルがある世界さ。」

 

 奴は、楽しそうに続ける。


 「君たちは、栄えある最初の参加者に選ばたってわけ。しかも世界、国、個人という単位の代表としてね。」

 「ルールは、これから教えてあげる。だから精々、僕を楽しませてよ。」


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■ゲーム:戦いはやっぱり1on1だよね

〇ルール

・対戦:人間 VS モンスター

・勝敗:1対1での戦いで相手を倒したら勝利 

 ※デスマッチ、要注意


〇報酬

・世界報酬(今回の参加者の1人でも達成で取得)

 1.世界にダンジョンが発生するまでの遅延:1年

・国報酬(今回の参加者の国代表の1人でも達成で取得)

 1.ダンジョン発生個所の事前特定 ※最初期ダンジョンのみ

 2.国ポイントの獲得

・個人報酬

 1.ゲーム前に獲得した”スキル”の保持

 2.個人ポイントの獲得

 3.参加ゲーム難易度(ランダム)による、追加報酬 


〇ペナルティ

・国単位でクリア者がいない場合

 その国の人口を二割削減

 二割は今回のゲーム参加者に近しい順で選出される

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 人間 VS モンスター?、世界にダンジョン?、スキルにポイント?、言葉としては分かるが、理解できない。

 なんだこれは、やっぱりこれは夢じゃないのか?

 今起きたらいつものベッドの上で、変な夢だったな、で終わらないかと、ぐるぐる回る思考が整理できない。

 

 「うんうん。みんな混乱してるね。特に気になるであろう世界報酬について、説明してあげるよ。このゲームもしも君たちが全滅しちゃったら、世界各国にダンジョンを即座に設置しま~す!」


 ダンジョンだと、あのゲームで出てくる迷路のような場所に挑みモンスターや宝箱があるような、ダンジョンのことか。

 

 「ダンジョンは、大体君たちが思っているようなイメージで合ってるよ。ただし、ダンジョンの外にもモンスターが出てくる場合もあるダンジョンだけどね。しかも時間制限付きさ。」


 奴の言う説明をまとめるとダンジョンとは以下のようなものらしい。


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■ダンジョン

・ダンジョンは、ランクがあってそれぞれ中の難易度が異なる

 S~Iランクまでの全10段階

・ランクが高いほどに報酬等が変わる

・ダンジョンの攻略は、最終層のボスを倒すことによって可能

・ダンジョンは、攻略すると消滅するインスタントダンジョンと、消えずに残る通常ダンジョンがある

・ダンジョンの攻略は時間制限があり、それまでに攻略できないと、ダンジョンからモンスターがあふれ出す、「スタンピード」が起こる

・スタンピード時は、モンスターのランクがダンジョンのランクよりも高くなる

・消えずに残るダンジョンは、一度攻略すれば、以降スタンピードは発生しない。

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 とりあえずは、こんなものだが、これがいきなり世界中にできるだと・・

 どんなモンスターがいるのかはわからないが、「モンスター」というのだから、人に危害を与える存在なのは、ほぼ間違いないだろう。

 1年という猶予期間は正直短い気がするが、もしそれすらもないとしたら、人類の危機といってもよいかもしれない。

 いきなり与えられた危機的情報に困惑し、私も周りの皆も黙り込んでしまった。


 その時、どこかから奴に声をかけるのを聞いた。


 「神よ、質問してもよいでしょうか?」

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