第18話 寝ているだけの犯罪者。共犯は誰?


■ーーーーー


地図を見ながら共和国について聞く。



共和国内は各国がポータルで繋がっており、ニグルスと冬の時期以外は移動可能らしい。らしいというのも、テオもはそのポータルに乗ったことが無いから分からないらしい。


共和国は大まかに5つに分かれており、それぞれエルフの国、ドワーフの国、獣人の国、雪人の国、中央には議会など行われる国?があるらしい。それぞれに勿論名前は付いているが私には覚えられなかった。


『ここから、えっとリー・・・』

『リイヤックか?』


『そうそう。

リイヤックから海のある国迄はポータルで行くの?』


『いや、リイヤックの南門までギルドから飛んで、海のあるカースまでゆったり行こうと思う。』


今はこちらがもう少しで3の月。カースには8の月に着けばいいらしい。カースの北門に着いたらポータル移動らしいから結構余裕がある移動なんだと。



それから準備する物をつらつら挙げて、テオは眠った。



今日は長いな。私はまだ帰る時間ではないらしく、暗くなった部屋でテオが開きっぱなしにしてくれた地図を見ている。月明かりしかないのになんでこんなに見えるのか謎だ。


共和国の前に居た国。えっとなんだっけか。なんとか帝国だったはず。地図を見ると翻訳機能さんが仕事をしてくれているようで馴染の文字が表示される。そうか本当に右上から入って来たんだな。テオの生まれたのはその隣の隣の公国と言っていた。


“トラバングエル公国”


確かここだったと思う。魔道具に溢れた国。確か22とかで国を出たんだよね。若いな。


『偉いな。』



『なにが?』


暗い静かな部屋から声が聞こえた。

っびっくりした!びっくりした!


『・・・カル戻ったんだ』

ふわっとしたカルの毛が体にあたる。(気がする。)


『えんかい。たのしかった。』


宴会、してたんだ。アタウィルとか?まあいいか。楽しかったんならよかったね。


『なにが?』

?

『あうらーいった。えらいってテオのこと?』


『今地図見ててさ、このトラバングエルってテオの生まれ故郷でしょ? 22で国出て一人で生活しながらまた国超えてさ。凄いなって思ったわけよ。』


『?そうなの?』


『カルが一緒に居たのは心強かっただろうね。』


『  そうかな。あんまりめ、あわなかったよ。』



おおぅ。そうか。テオが少し前までカルを見たのは、カルと契約した1回目、良くは知らないが2回目にこないだの計3回。

テオとカルはここひと月で急接近してるもののまだ発展途上だ。


『言ってたよ。時々手助けしてくれたって。』


『そうなの?』

脇腹の辺りでふるふる震えた気がした。

可愛いやつだな。




『どうやって帰ってきたの?』

『ひゅんってかんじ』


えっと、どういう感じ?

考えていると、


『んー、テオのいるところとつながってるかんじ。ひゅんっていく。』



水風船みたいだな。それかヨーヨー。

釣りって感じでも無さそうだなぁ。

ひゅんって感じの物を想像していると、


カルの視線を感じ目を合わせる。



『かりゅとりゅーちぇ・こよとる』


・・・



名前。・・・そうか。コヨーテか。

学校の先生がアステカ神話と言う古代神話狂者で、コヨトルはコヨーテだと、面白好きな老いたコヨーテがいると熱弁していた。



覚えているものだな。




『ありがとう。教えてくれて。カルって名前、案外的外れじゃなかったね。』


カルは狼の様な姿になる。見たことはないがテオが契約した時はそうだったらしい。

実際はコヨーテだったか。

カルの目はアタウィルよりも黄色みが強い琥珀色だ。普段は黒い毛に隠れているが月明かりの下で見る三白眼は確かにイヌ科らしい。

魅入ってしまう可愛さがある。









「カリュトリューチェ・コヨトル。そうか。」







暗闇の中で、第三者から声が聞こえた。

目の前のカルと私は、固まった。カルはビクッと動きを止めて、私は驚きすぎて一瞬白目を剥いた。




「寝たのか?」




『っ起きてたんだ。びっくりしたじゃんかっ!!』



「いや、寝てたんだが、急にカルの声が聞こえて目が覚めたんだ。どっちかと言うと起こされた感じだ。」




お互い引き寄せてる感じなのか。




「アウラーまだ居たのか。」

『うん。最近滞在時間長いんだよねー。カルと話してて、ごめん起こして。』


「問題ない」




「カル」




『  なに?』





「カリュって呼んでいいか?」


ブワッと毛が広がった。

ふふっ!まん丸だ。




『・・・いいけど。時々ね。』

ゴソゴソテオの腕と胸の間に潜り込んでいく。


可愛いぃなぁ。




起きてしまったテオと話す。

「だんだんこっちに居る時間伸びてきてないか?」



『そうなんだよね。最初は3時間くらいで、今は12時間位かな?起きてちょっと時間バグるんだよね。ぼんやりはするけど、前から寝起きはそうだしなぁ。』


「起きて仕事に行くんだろう?疲れないのか?」


『それが逆に調子が良いんだよね。しっかり寝てる感じもするし。』




カルがふと視線をよこす。

『アウラーはこの€☆+○0>をみてなにをしてるの?』

えっと、なんて言ったの?

えー、見て何をしてるのか?って質問だよね??


『ちょっと聞き取れなかったけど、何をしてるのかって聞かれても何もしてないとしか言えないんだけど・・・手も足もないもんでして。意識だけここに居る感じなんだよね。目は見えるね。瞼もあるっぽいけど。』



『アタウィルがいってた。アウラーがレンズ?で、そのおくでだれかがみてたって。』



・・・軽くホラーなんだが。ナニソレ。



『・・・アタウィルは€☆+○0>のホロスなのか。』

『また聞こえなかったけど何て?』


『多分聞こえないのは、この場所の名前だ。』

場所。リイヤックって事?

でもそれなら分かるしな。

謎すぎて気持ち悪くなってきたな。


『あー、例えば、神の管轄域と言えば分かるか?』


分からんよ。管轄があるの?

信仰の範囲的なものか?


『アウラーの住んでいるところはまた違う神がいるんだろう。』


じゃあ、

『アース。これ聞こえる?』


『ああ聞こえる。』


聞こえるんかい。そうだよね。

前にアタウィルにも聞かれたしね。

じゃあ何?

全く分からん『・・・』



『あー。説明が難しいな。まあ置いておいて、管轄を監視?する存在がホロスだ。役名のようなものだ。


今度教会に行くか?説明してくれるはずだ。』



置いておかれてしまった。ホロスはどこにでもいてどこにもいない存在なんだって。

なーぞー。

『教会は遠慮しておく。ふふっ。つまみ食いしながら監視か。』



多分私は管轄外から来てて、私を通して誰かがこちらの世界を覗いている。アタウィルは監視をする中で私を見つけてあの時排除したってこと?



私寝てるだけなのに?

善良な一般OLが寝てる間に犯罪者か。





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次回は明日か明後日です。

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参加型異世界日記 yamyom @yamyom

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