再会した親友が美少女になっていたので、『おまえ女だったのか⁉』と言ったら、首を横に振られた件。 ~初恋の相手に男だと思われていた乙女の可愛らしい復讐劇。
第2話 おまえ女だったのか⁉ ヒロイン:詞視点
第2話 おまえ女だったのか⁉ ヒロイン:詞視点
「……ねえ、詞。あんたって男の子だったの?」
「そんなわけないでしょ⁉ 普通に女の子だから!」
先生に呼ばれてきーくんが教室を出ていってから、私の前の席に座る茜がそんなことを口にしたので、私は体を前のめりにして抗議する。
「だよね。そうだよね。いや、分かってたよ。でも、私が聞かないとかなって」
茜はそう言うと、ポニーテールをブンブンと横に振りながら辺りを見渡す。
何かを心配する様子の茜を見てから、きーくんの席を見る。
「うー、初恋だったのに! きーくん、本当に酷い⁉」
「は、初恋? あれ? もしかして、詞が言ってた想い人って三条くんなの?」
「そうだよ。今度の夏休みにサプライズできーくんが住んでる街に行こうと思ってたのに、あんまりだよ!」
私はさっきまでのきーくんの言葉を思い出して、小さな拳をきゅっと握る。
きーくんがずっと私のことを男の子だと思っていたなんて、初めて聞いたよ!
そういえば、異性にしては初めて会ったときから距離が近いなと思っていたけど、あれってきーくんも私のこと好きだったからじゃないの⁉
「まさか、詞を男の子と間違える猛者がいるなんて……あれ? でも、三条くんが詞が痴漢されてる所を助けてくれたんでしょ? それなのに、男の子と間違えてるってことあるの?」
「……そういえば、きーくん私を助けた後、不思議そうな顔をしていた気がする」
「不思議顔? あ、もしかして、なんで男の子が痴漢の被害に? って感じだったりするのかな?」
「ぐ、ぐぬぬっ」
私は茜の言葉を聞いてから、唸りながら初恋の記憶を思い出す。
昔、私が電車でおじさんに痴漢をされたとき、きーくんが颯爽と私の前に現れて助けてくれたことがあった。
それから、きーくんは私を落ち着かせようと近くのベンチに連れて行ってくれて、何も言わずに私が落ち着くのを待ってくれた。
あのときのきーくん、なんか不思議そうな顔をしていた気がする。
まさか、あのときにそんなことを考えていたなんて、思いもしなかったよ。
「……悔しい」
「詞?」
「ずっと私だけドキドキしてたなんて、悔しい! 絶対に、きーくんにもドキドキさせてやるんだから!」
「え、でも、さっき詞、自分のこと男だって言ってなかった? 今から訂正するの?」
私は茜の言葉に首を横に振ると、微かに頬を膨らませる。
「ううん。このまま本当のことは教えない。教えてやらない」
それから、私はきゅっと小さな拳を握って、息巻くようにふんすと鼻息を漏らす。
「昔の私がきーくんに恋をしたように、昔の私にもきーくんを惚れさせてやるんだから! 昔の私を男の子だって思ってたきーくんには、私を男だって思いこんだまま惚れさせる!」
私が宣言するようにそう言うと、茜は眉を下げる。
「えー、それって自ら難易度上げてない? あ、もしかして、三条くんって女の子よりも男の子の方が好きなの?」
「ううん。前にきーくんの家に遊びに行ったときに、えっちな本があったから、女の子が好きだと思う」
「そ、そうなんだ。今の聞いても良かったのかな? 三条くんのプライベートが……」
茜が微かに頬を赤らめるのを見てから、私はきーくんが出ていった扉を見る。
「私のことをバンバンに意識させる。それで、絶対に可愛いって言わせるんだから」
「それって、どうやって意識させるの?」
「とりあえず、無難なことから始めていこうかな。無難なこと、無難なこと……」
私はむむっと考えて、よく読んでいる漫画やラノベ、アニメからヒントがないかを思い出す。
きーくんに勧められて色々と二次元コンテンツに手を出して、気がつけば私は結構なオタクになっていた。
きっと、同じくオタクのきーくんを相手にするなら、その手の知識を使った方がいいはず。
「うん、いい感じのやつを思いついたよ」
私はそう言うと、にやっと口元を緩めるのだった。
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