僕と彼女の未来

夏休み半ば、僕は奏さんの大学でオープンキャンパスに参加をしていた。


午前中は、大学の概要を聞いたり、模擬授業を受けていた。

まだ、オープンキャンパスは一つしか参加をしていないが、教授や大学職員の話を聞いて、この大学に興味が出ていた。


午後からは構内を自由に見学をして良いとのことだった。

奏さんは、「私が案内するね!」と、言っていたので、合流する為に食堂に向かった。


「あっ、透君だ!」


「こんにちは、奏さん」


「午前中、お疲れ様! 取り敢えず、お昼を食べようか」


奏さんの案内で券売機に向かった。

券売機には様々なメニューが書いてあった。


「沢山あるんですね」


「そうだね、大学で比べたら多いと思うよ」


「よく見てみると、カレーと中華蕎麦がとても安いですね」


奏さんは笑って頷くと口を開いた。


「そうなの、だからお金の無い学生にとっては心強い味方だよ」


僕は悩んだ末にカレーを選んだ。


「カレーで良いの?」


「はい、この安さでどんなカレーが出てくるかが気になります」


「成程、そうしたらこっちも見てもらおう」


奏さんはそう言うと中華蕎麦を選んだ。


「多分、驚くと思うよ?」


奏さんはそう言うと、ニヤッと笑った。


注文した物を貰い、席に着くと、僕は口を開いた。


「この値段でこんなに沢山の量が食べれるんですか?」


カレーも中華蕎麦も完食すれば満腹間違い無しの量があった。


「そうなの。だから男子はよく食べているね」


その後は、カレーを食べ、予想通り、満腹になったのだった。



食事を終えると僕達は大学内を散策した。


ある程度、構内を見て回ったところで、僕と奏さんはベンチに座った。


「どう? 回ってみて」


「やっぱり、大学は広いですね」


「そうだよね、私もまだ入った事がない教室があるもん」


その後は、ベンチに座ったまま、構内の様子をしばらく眺めた。


「奏さん」


「なぁに?」


「僕、この大学に入りたいと思いました」


「……私が通っているからって理由では無さそう。大学に嫉妬しちゃうな」


「……建物相手に嫉妬をしないで下さい」


そう言って二人で笑った。


「奏さん、僕がこの大学に合格したら一緒に住んで下さい」


「……それってプロポーズ?」


「それに近いですけど、プロポーズはまた別でちゃんとやります」


「……ありがとう、嬉しい」


奏さんは、僕の手を握った。


「待ってるからね」


「はい、必ず合格します」


僕の言葉に奏さんは微笑んだ。


これは未来に向けた僕等の約束。

いつまでも、この人と一緒にいたい。

その願いを込めて、僕は奏さんの手を強く握り返した。



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お隣の美人な大学生がボクの様子をよく見に来る 宮田弘直 @JAKB

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