教習所の真ん中で愛を叫ぶ
教習所では、実技というか、救命救急講習を受けますね。AEDや人体模型を使って、事故に遭った人を助ける模擬訓練です。
一通り説明を聞いた後に、教官の一人が「誰かやりたい人いるか~?」と聞きました。私は食い気味に「はーい!」と手を上げました。なんか面白そうだし。手順は以下の通り。
①反応を確認する
②助けを呼ぶ
③気道の確保
④呼吸の確認
⑤人工呼吸
⑥胸骨圧迫
⑦AEDの使用
⑧心電図解析と電気ショック
⑨心肺蘇生法再開 (⑤⑥繰り返し)
まず、力なく横たわる模型くん。私は学生時代に演劇部だったことをふと思い出して、だんだん事故現場にいるような気持ちになってきました。目の前にいるこの人を助けなくては、という使命感に駆られ、耳元で必死で呼びかけました。
「もしもし?」「大丈夫ですか!?」……返事がない。ただのシカbn……にしてしまっては救命失敗なので、次の段階に移行します。
だんだん感情移入してしまって、勝手にアドリブを入れながら世界の中心で愛を叫ぶ勢いです。
「誰か、誰か来てくださぁぁぁい!(鍛えた腹筋から繰り出されるクソデカボイス)」
「そこのあなた!(教官その1) 119番に通報してください!」「あなた (教官その2)はAEDを持って来て下さい!」
呼吸の確認など、教えられた手順を繰り返し、どうやら救急隊員が到着したようです。(教官その3)
隊員に傷病者を託し、一仕事終えた満足感で立ち上がると、周りから拍手喝采が沸き起こりました。私はすぐ調子に乗るので、カーテンコールに応える女優のごとき仕草で頭を下げました。ド紫ジャージ姿ですけど。
私が先陣を切ったので、他の方も続きやすかったのではないかと思います。教官にも「上手だった」と褒めていただきました。終わった人から帰っていいと言われていたので、それも先に手を挙げた理由の一つではありましたが。笑
実際の現場では人の命がかかっているのですから、恥ずかしがっている場合ではありません。
その後も救命救急講習を受ける機会は何度かありましたが、これは免許に限らず、きちんと覚えておいた方がいいと思います。いつ何どき、事故や事件が起こるか分からないのですから、自分に出来ることは進んでやっていきたいと思っています。
たとえ、通りすがりの他人だったとしても、その人は誰かの子供であり親であり家族であり、誰かにとっては大切な人なのです。
下手なのに調子に乗りやすい私なので、現在運転は控えております。でももしまた再開することがあったら、加害者にならない為にも、そのことは胸に刻んでおきたいと思っています。
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