第19話 死の咆哮(;´༎ຶД༎ຶ`)

※執筆に関して訓練中の身ですので、何かご指摘があればよろしくお願いいたします。


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「しかしこの頭の上の肉の紐みたいなのでこんなことが出来るなんて……罪悪感を感じている暇も無いよ」


「シゲルよ、ここは逃げるのも難しい。連中はこちらを殺しきる手段は持っていないが、シゲルにダメージを与えることは出来る上に説得に応じてくれる余裕が無い。

シゲルが吸い込まない場合には私が連中の構成を分解する」


 4階に着いてから、まだ1日経過してないにもかかわらず、ものすごい数のアンデッド老人が押し寄せてきた。

 俺は仕方なく、頭上の肉のひもだかくだで相手を吸い込みまくった。まとめて吸うことが出来たのだ。もう300体は吸い込んだのではないだろうか。


「それにしてもマーちゃん。俺が吸い込んだ場合なんだけど、本当に彼らは輪廻りんねの流れに戻ったんだろうか。識別で見ると俺の『しぶとさ』が増えてるんだけど」


『ジョッシュ・ナバワン

【蘇生者】

しぶとさ:40(+1000)


●能力

格闘術 状態異常無効

識別しきべつ 念話 人語理解 憑依ひょうい

状態異常付与

麻痺まひ・混乱・気絶・衰弱すいじゃく・即死)

保管庫アイテムボックス


眠りの術 爆燃の術

冷気の術 衝撃波の術

増術ライズ 抗術レジスト

強化バフ 弱体化デバフ


 今の俺のしぶとさは40(+1000)まで上昇していた。以前は+700だった。

 1体につき+1の増加ではあるが、俺の本体は魂を食べてはいないだろうか。だとすると絶望的な消滅かもしれない。俺が死んだ場合に解放されるのであれば救いはあるだろうが、答えを知っている存在がここにはいなかった。


「そうすると私が分解をした方が良いのであろうな。では面倒なのでダミノルさんに頼むとしよう」


 やる気の無いマーちゃんがそう言うと、俺の保管庫アイテムボックスからダミノルさんが出てきた。相変わらず『(;´༎ຶД༎ຶ`)』という顔で周囲を睥睨へいげいしている。全高10メートルは伊達ではないようだ。この迷宮でダミノルさんに勝てそうな者がいないかのような迫力だった。


「丁度良い。向こうからまた団体さんが来たな。ダミノルさん、頼んだぞ」


 マーちゃんの声に続き、3階に続く階段に向かう通路の方から50体ほどのアンデッド老人達がやってきた。全員が死霊レイス亡霊魔術師ワイトだ。

 亡霊魔術師ワイトには身体があったが、全てが干からびるか白骨化して茶色くなっていた。

 連中は全員が魂をこちら側に固定し、揮発して神に回収されてしまうことに全力で逆らっていた。


「ホオオオオォォォォ……」


 パイプから空気が漏れるような音を発しているのはダミノルさんの『(;´༎ຶД༎ຶ`)』な顔からのようだ。

 その音を聞いたであろう前方のアンデッド老人達に現れた変化は激烈だった。


「何ということだ! ハギョレモォォォ!」


 個性的な叫び声が上がるや、彼らの身体がぶれ始め、少しずつ薄くなりながら大気に溶けるように消え始めた。

 亡霊魔術師ワイトについては魂が消えた後に身体が砂のように崩れた。


「ダミノルさんの死の咆哮ほうこうだ。あれを受けると魂の固定化を構成している術が壊れる。気の毒にな。もっと早く旅立っておくべきだったのだ。最早研究する内容も思考力もあるまいに……」


 その咆哮ほうこうの通った後には何も残っていなかった。


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転生してアイテムボックスが使えるようになったんだが、中に『変なトカゲ』が住んでたんで、まるごと全部お世話してもらうことにした お前の水夫 @omaenosuihu

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