第2話
夏休みが始まった。クラスの誰もが自由を楽しみ、友達と遊んだり、海やプールに出かけたりしている。でも俺はそんなことは眼中になかった。なぜなら、ずっとさくらのことばかり考えていたからだ。いつも頭に浮かぶのはさくらの笑顔と、夏祭りで告白する瞬間のことだった。ふと我に返ると、言葉にならない孤独感を感じた。
しかし、実際に誘うとなると、緊張で手が震える。何度もスマホを手に取り、ラインの画面を開いては閉じ、開いては閉じる。そのたびに、心の中で「もう少し待てば、何かいいタイミングがくるかもしれない」と自分を言い聞かせていた。でも、そんな「いいタイミング」なんてものは待っているだけでは来ないことも分かっていた。
ある日、ついに覚悟を決めた。スマホを握りしめ、心の中で深呼吸をする。指が震える中、ラインを開き、さくらの名前をタップする。そして、何も考えずにこう打ち込んだ。
「さくら、夏祭り、一緒に行かない?」
送信ボタンを押した瞬間、全身の力が抜ける。もう後戻りはできない。この一瞬のメッセージが、俺の夏の全てを決めるんだと思うと、心臓がバクバクと音を立てる。
数分後、スマホが震えた。さくらからの返信が来たのだ。画面を見つめると、そこにはこう書かれていた。
「うん、行こう!楽しみだね!」
俺は一瞬、信じられなかった。何度も読み返し、その言葉が本物であることを確かめる。そして、やっとのことで現実を受け入れると、嬉しさが胸の中で爆発した。
「やった…!」と心の中で叫びながら、俺はその瞬間、人生で一番の勝利を手に入れたような気分だった。さくらと一緒に夏祭りに行けるだけでなく、告白するチャンスも得たのだ。
それからの数日間、俺は夏祭りの日に向けて準備を始めた。髪型を整え、新しい服を買い、さらにアクセサリーも揃えた。そして、部活の合間を縫って、自分を磨く努力を続けた。努力の甲斐あってか、鏡に映る自分が少しだけ自信に満ちた姿に見えるようになってきた。
そして、ついに夏祭りの日がやってきた。浴衣姿のさくらが待ち合わせ場所に現れると、思わず息をのんだ。さくらはいつも以上に綺麗で、その美しさに圧倒されそうだった。さくらも俺を見て、少し驚いたように微笑んだ。
「今日は一段と格好いいね」とさくらが言ってくれたその言葉が、俺にとっては最高の褒め言葉だった。
祭りの中、二人で屋台を回り、射的や金魚すくいを楽しんだ。さくらの笑顔を見るたびに、俺の胸の中の不安が少しずつ消えていく。花火が始まる頃には、俺はもう決意を固めていた。告白するしかない、と。
そして、花火が夜空を彩る中、俺はさくらを少し離れた静かな場所に連れ出した。心臓が早鐘を打つ中、俺はさくらの目を見つめ、こう言った。
「さくら、俺、君のことがずっと好きだったんだ。俺みたいなやつが、君にふさわしいかどうか分からないけど、それでも俺と付き合ってほしい。俺、君のこと、もっともっと幸せにしたいんだ」
言い終わった瞬間、心臓が止まりそうだった。さくらは一瞬驚いたような表情を浮かべたが、その後、柔らかな笑顔を見せた。
「実は、私もずっと君のこと気になってたんだ。こんな風に告白してくれるなんて、嬉しいよ。こちらこそ、よろしくね」
さくらの言葉を聞いた瞬間、俺は天にも昇るような気持ちになった。花火が次々と夜空に咲き誇る中、俺たちは新しい関係をスタートさせた。
この夏、俺は一生忘れない。さくらと過ごした夏祭りと、その後の花火。全てが完璧で、まるで夢のようだった。
バカな俺 @remon3212414
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