第13話 無理やりな約束
家にたどり着いたころには、周囲はすでに真っ暗になっていた。そして、私の気持ちも真っ暗になっていた
肩でゼイゼイと息をしながら、家の中へと入る。
何か食べなきゃいけないのだろうけど、正直、そんな気分なんかじゃなかった。
激しい自己嫌悪。
それだけが、今の私の頭に渦巻いていた。
私、ここにくるべきじゃなかったのかな。
居間であてもなく座ったまま呆然としていると、とつぜん玄関のドアの開く音がした。
出迎える気力もなく、じっとしていると、玄関のほうから足音が近づいてきた。
「なんか、おるんやったら返事ばせえ」
ハルさんの怪訝そうな声が響く。私は心ここにあらずといった風に、はぁ……とだけ返事をした。
「なんかあったんか?」
問いかけに答えず、黙り込んでいると、ハルさんは私の背中をバシン! と叩いて、
「よし。明日将太と遊んでこい。いいか、約束やきの? 明日の朝、将太と村んなか走り回ってこい」
それだけ言うと、ハルさんはさっさと家から出ていってしまった。
ハルさんが出ていってしばらくしたところで、私はのっそりと身体を起こし、布団を敷いてその中へと丸まるように潜り込んだ。
とにかく、今は寝よう。
私は必死に目をつぶり、つらい現実から逃げ出すように微睡の中へと身をゆだねるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます