第13話 無理やりな約束


 家にたどり着いたころには、周囲はすでに真っ暗になっていた。そして、私の気持ちも真っ暗になっていた


 肩でゼイゼイと息をしながら、家の中へと入る。


 何か食べなきゃいけないのだろうけど、正直、そんな気分なんかじゃなかった。


 激しい自己嫌悪。


 それだけが、今の私の頭に渦巻いていた。


 私、ここにくるべきじゃなかったのかな。


 居間であてもなく座ったまま呆然としていると、とつぜん玄関のドアの開く音がした。


 出迎える気力もなく、じっとしていると、玄関のほうから足音が近づいてきた。


「なんか、おるんやったら返事ばせえ」


 ハルさんの怪訝そうな声が響く。私は心ここにあらずといった風に、はぁ……とだけ返事をした。


「なんかあったんか?」


 問いかけに答えず、黙り込んでいると、ハルさんは私の背中をバシン! と叩いて、


「よし。明日将太と遊んでこい。いいか、約束やきの? 明日の朝、将太と村んなか走り回ってこい」


 それだけ言うと、ハルさんはさっさと家から出ていってしまった。


 ハルさんが出ていってしばらくしたところで、私はのっそりと身体を起こし、布団を敷いてその中へと丸まるように潜り込んだ。


 とにかく、今は寝よう。


 私は必死に目をつぶり、つらい現実から逃げ出すように微睡の中へと身をゆだねるのだった。

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