ヒース3

 開戦から30年。


 武器獲得作戦は成功した、神自身が作成した機械、魂の選別を行う兵器、自らの本拠地、その地下に設置された機械のハッキングに成功する。


「ヒース…」


 その間、陽動で動いた私はあまりにも多く、長く、レーザーを使い過ぎた。


 精神汚染の影響は限りなく、目の裏からドロッとした黒い謎の液体が瞼からこぼれ出る、


「ティアムス…私に…自壊命令を…」


 全能感が体を支配して、姉妹を殺してしまわないように、カーネーションが言い出した概念が功を奏して、少しの愛着が私を引き留めてくれる。


「まって、ティアムス…」


「お前は…」


 一人の女神が現れた、知恵を司るその神に、ティアムスは私をゆだねた。


「私の願いを一つ、貴女の願いを一つ、お互いに叶えあいましょう。」


 提案では無く、脅迫、今戦闘行動へ移行すれば大被害を招く事を知っているから。


「あの神を殺したいんでしょう?私は私の子供を人の身で育ててくれるなら、貴女を助けてあげる。」


「分かった…」


 私は、究極の機械から少し強いくらいの人間になった。


「この結界を差し上げます、知識の結界という物で、図書館の様になっています、小さいですけど居住区画もあります、時が来たら…ね?」


 女神とはそれ以降会う事は無かった。


 女神と別れてから、すぐに自分のお腹が膨らみ始めた、人体の柔らかさ、初めて感じる感覚ばかり、私はあの女神を少し憎んでいた節がある、これからも変わらない、けど、きっと立派に育てて見せると誓った、姉妹の為、母の為、娘の為、何も隠さなくて良い世界の為。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人形たちのお話 黒猫 優太朗 @kuronekoyutaro2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ