第23話 戦況をひっくり返せ

 怒りをぶつける魔鳥のかしらへと向かうドッコイ。


「どうやら、また我のチョップをくらいたいようだな。」

「ほざけ! まだ俺達の攻撃は終わってねぇよ! ほら、やっちまいな!」

「ふん。どのような攻撃が来ようとも…ん?」


 得意げに指をさすドッコイ。

 そんなドッコイの頭上に大量の石が降ってくる。

 それに気づいたドッコイが慌てて飛び退く。


「のわああああああああああっ!」

「「ドッコイさーーーんっ!」」


 ドッコイが避けた直後に、石が地面に落下する。

 避けたドッコイは、そのまま地面を滑る。

 そしてすぐに起き上がると、魔鳥のかしらを指さす。


「おい! 上空からとは卑怯じゃないか!」

「卑怯で結構! まだまだ降らせてやるからなぁ!」

「うおわぁっ!?」


 更なる追撃に、大慌てで逃げるドッコイ。

 右往左往と逃げ続ける。

 それを見たイリアが動く。


「ドッコイさんがっ。レリーアちゃん!」

「分かってますわ。」

「おっと、させねぇよ!」

「「え?」」


 ドッコイを助けようと動いた二人へと大量の石が降ってくる。

 それに気づいた二人もまた大急ぎで飛んで避ける。


「ちょっ!?」「まっ!?」


 避けた二人は、ドッコイと合流して並走する。

 そんな三人へ向かって、大量の石が襲いくる。

 その石から必死に逃げる。


「魔法でどうにかならないのかね!」

「そうしたら、また先程の繰り返しですわ!」

「それならまた、我のチョップを繰り出せば良い!」

「いえ! 同じ手は通じないでしょう! 次は避けられますわ!」


 先程の攻撃は、初見の攻撃だから決まったようなものだ。

 同じ事をしたとしても、上手く行くとは限らないだろう。

 その光景を見て、魔鳥のかしらが笑う。


「さぁ走れ! やれ走れ!」


クエーーーーッ!


 逃げ回る三人を見て盛り上がる魔鳥のかしら。

 そんな光景を見て、兵士達もまた石を投げる。


「こ、こっちだ!」

「おい! びびってんのか! 来るなら来い!」


 降ってくる石を分散させるつもりだろう。

 しかし、兵士が投げる石は魔鳥まで届いていない。


「はっ。あんなの無視だ無視!」

「くそう。俺達じゃ無理かっ。」

「じゃあ私達が出る。」

「いやぁ、届いたところでじゃん?」


 ここから攻撃は届かない。

 届いたところで、あの数を相手にはどうする事も出来ない。

 つまり、わざわざ相手をする程では無いのだ。


「ぬぅ。このまま走り続けるのは厳しいな。」

「なんとかこの状況をひっくり返す方法を見つけないといけませんが。」


 このままだと、いずれ体力が切れてしまう。

 その前に、どうにかしないと終わってしまう。


「レリーアちゃーん! 早くー!」

「分かってますわっ。えーと、上空を封じれば良いのだから。」


 魔鳥自身をどうにかするのは不可能だ。

 そうなると、魔鳥がいる空間をどうにかするしかない。

 そうして焦る三人を、つるに絡まる魔鳥が笑う。


クエーーーーーッ!


「ざまぁ見ろーーーー。かな?」

「良いご身分ですこと! 帰ったら絶対に焼いてやりますわ! ん?」


 怒りを見せるレリーアだが、そこでふと何かを思いつく。

 すると、レリーアは二人から離れて走り出す。


「これよ!」

「レリーアちゃん!?」


 驚くイリアを無視して走るレリーア。

 その先にいるのは、つるに絡まる魔鳥。

 それに気づいた魔鳥が驚く。


クエ、クエッ!?


「何か嫌な予感!? だってさ。」


 レリーアの目的を察したのだろう。

 そんなレリーアは、魔鳥に絡まるつるを掴む。


「当たりっ…。」


 そして、そのまま体を回転する力を利用して魔鳥を投げる。


「ですわっ!」


クエーーーーーッ!?


 投げ飛ばされた魔鳥は、弧を描くように飛んでいく。

 その魔鳥は、そのまま地面へと落ちようとするが…。


「ドッコイさん! 蹴りあげて下さい!」

「むう? なるほど! そういう事か!」


 何かに気づいたドッコイもまた、向きを変えて走り出す。

 そして、滑り込むように落下地点に潜り込んで魔鳥を蹴りあげる。


クウッ、エーーーーーッ!


 蹴られた魔鳥は、空高くへと飛んでいく。

 それを見た魔鳥のかしらが慌てふためる。


「なーーーっ!? 回収だ! 誰か回収を!」


クエーーーーーッ!


 飛んでいく魔鳥を、他の魔鳥が捕まえに向かう。

 そうして、掴む事が出来たのだが…。


「残念ね。」


 笑いながら、手に掴むつるを引っ張るレリーア。

 それにより、掴まれた魔鳥が下へと引っ張られる。

 どうやら、投げる際につるを掴んだまま投げていたようだ。


「残りの魔力を、つるの成長に使うわ!」


 魔力を注ぐ度に、つるがどんどん伸びていく。

 すると、周りの生徒や兵士もつるを掴む。


「なら私達の魔力も!」

「持ってくと良いじゃないっ?」

「なら、そのつるは我々が引っ張ろう!」

「力仕事なら任せてくれ!」


 引っ張る力が増した事により、少しずつつるに絡まる魔鳥が下がっていく。

 しかし、それを黙って見ている魔鳥ではない。

 他の魔鳥もまたつるを引っ張りだす。


クエーーーーーッ!


「負けるな! 引っ張れ!」

「こっちもだ! 負けんじゃねぇ!」


 両者負けじと引っ張り合う。

 すると、更に他の魔鳥がつるを引っ張る魔鳥を引っ張りだす。

 それにより、向こうの力が増していく。


「良いぞ! 上がっていく! 人間なんかに負けんじゃねぇぞ!」

「ぐうっ、なんて強さだ!」

「流石に、あの数にはっ。」


 多勢に無勢だ。

 いくら人間でも、あの数の魔鳥には勝てない。

 それでもと、そんな中でレリーアが笑う。


「いいえ。私達の勝ちですわ。」


 ニヤリと笑うと同時に、つるにかけた魔法を発動する。

 すると、つるが伸びて次から次へと魔鳥を絡めて伸びていく。


クエーーーーーッ!?


 逃げようにも、密集してて逃げられない。

 そうして、空中に大きなつるの玉が出来上がる。


「な、なんだこりゃあ!」

「見ての通りですわっ!」


 その言葉と共に、空中の玉を引っ張るレリーア。

 すると、引っ張り返す者がいなくなった玉が落ちていく。

 それを見た魔鳥のかしらが飛び立つ。


「なら俺がっ。こんなの引きちぎってやる!」

「出きるでしょうね! でも、もう遅いですわ! ドッコイさん!」

「おう!」


 玉へと向かう魔鳥のかしらの向こうにドッコイが現れる。

 その姿が、魔鳥のかしらの目に映る。


「な、なにぃ! いつの間にっ。」

「引っ張りあいの隙間に、イリア君の魔法で跳ばせてもらったよ。さぁ、これで終わりだっ!」


 そう叫ぶと同時に、大きな玉へと振った足をぶつける。


「くらえっ! ウルトラゴージャスっ、なんとやらっ!」

「はしょった!?」


 技名と共に、大きな玉を蹴り飛ばすドッコイ。

 それを見た魔鳥のかしらが慌てて方向転換するが…。


「間に合わないーーーーっ!」


 急いで向かっている途中ゆえに、そんな時間はない。

 そうして、一直線に飛んだ玉は魔鳥のかしらに直撃。

 そのまま地面へと落下する。


「ギャアアアアアアアアッ!」


クエーーーーーッ!


 落下すると同時に大爆発が起こる。

 それを見ながら着地したドッコイがポーズを決める。


「見たか! これが俺のゴールデン…なんだっけか。」

「知りませんわよ…。」


 なにはともあれ、こうして魔鳥の群れの撃退に成功する。

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骸骨騎士、召喚しちゃいました!? 鍋敷 @jdddddddxxhzdtxddjjdyd

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