第22話 ドッコイ吹き飛ぶ
互角に押し合う両者だが、次第に生徒達側が押されていく。
「ちょっち、まずくない?」
「押されてるねー。うん。」
「まずいよ、負けちゃうよー。」
「いいから黙って魔法を出しなさい! おもいっきり!」
もはや、押し合いと言うより風の魔法で防いでるようなものだ。
それにも関わらず、魔鳥のかしらの羽ばたきは衰える気配がない。
「おいおい、口だけか? おおん? 諦めて楽になりなっ!」
「ぐうっ、言うだけはありますわね。どうにかしないといけないんですが。」
他の事をすれば、このまま飛ばされてしまう。
何かしようにも、どうする事も出来ないのだ。
その光景を見た兵士が悔しがる。
「ぐうっ、俺達が戦えてたら。」
「構いませんわ。今回の状況は、どこぞのおまぬけさんがしでかした事なので。」
「うぐっ。」
レリーアに図星を突かれるイリア。
実際に、イリアの言葉が無ければこうならなかっただろう
「こ、こうなったら、ドッコイさんを召喚するすかないっ。」
「お願いしますわ。」
「うん! 来て! ドッコイさん!」
イリアが叫ぶと同時に、指にはまっている指輪が輝く。
それと同時に、地面に魔方陣が浮かび上がる。
その場所は、風の魔法がぶつかり合う中央だ。
「ちょっ、そんな所に召喚したらっ。」
レリーアの言葉も間に合わず魔法陣が光り出す。
そして、その魔法陣からドッコイが飛び出す。
「とうっ、ドッコイ参上! ってうおっ、どうして我は風に潰されておるのだぁっ!?」
現れた場所の状況に慌てるドッコイ。
前後から押してくる強烈な風に耐える。
状況を知らない者達は、その光景に驚く。
「今度はなんだぁっ?」
「何か出たけど、イリアの知り合い?」
「みたいだけど。」
ドッコイの存在に疑問を持っているようだ。
当のドッコイは、風に耐え続けている。
それを見たレリーアがドッコイへと呼びかける。
「ドッコイさん、申し訳ありませんわ! レリーアさんが召喚場所を間違えちゃって!」
「うわーん! ごめんなさーい!」
「ん? 二人とも大丈夫だ! この程度! この程度ぉーーーーーっ! ぬわっ!」
「「ドッコイさーーーーーん!」」
遂に耐えきれず、空へと吹き飛ばされるドッコイ。
その飛ばされた方の上空に、親指を立てるドッコイの姿が浮かび上がる。
「ドッコイさんが! ドッコイさんがーっ!」
「お、おおお、落ち着きなさい! そう、落ち着くのよ!」
「う、うん! お、落ち、落ちーっ。」
まさかの展開に、気が動転しているようだ。
落ち着こうにも、動揺が止まらない。
ドッコイが飛んでいった方を見ながら魔鳥のかしらが笑う。
「はっ。何か出てきたと思ったら、ただのスカスカの骨やろうか。中身も外も無いせいで耐えきれなかったようだけどなっ。ギャハハッ!」
飛んでいったドッコイを笑っている。
そんな魔鳥のかしらへと、ドッコイが落ちてくる。
「誰だスカスカの骨やろうだっ!」
「ギャーッ!」
「「相手に落ちた!?」」
落ちてきたドッコイは、クロスした腕で魔鳥のかしらの首を打つ。
それを受けた魔鳥のかしらは、悲鳴をあげながら落ちていく。
「んぎゃーーーーーっ!」
クエーーーーーッ!
落ちる魔鳥は、そのまま地面へと落下する。
そして、それを背景にドッコイが華麗に着地する。
「とうっ。決まった。」
「「ドッコイさん!」」
着地したドッコイへと、集まるイリアとレリーア。
その後ろからは、他の生徒も近づく。
風はもうないので動けるようだ。
「あははっ。やっば、マジで骨じゃん。」
「魔族? 何か強そう。」
「ん? 二人の同級生か? 我はドッコイだ。よろしく!」
「あはっ。よろしくー。」「よろしくね。」
謎にポーズを取るドッコイを受け入れる生徒。
そんなドッコイを見た兵士達も集まっている。。
「えーと、味方って事で良いんですよね? 一時はどうなる事かと。助けてくれてありがとうございます。」
「うむ。正義の味方、ドッコイだ。怪我が無くて何よりだ。」
「ほんとだね。でも、終わりよければなんとやらだよ。」
「貴方が言いますか……。」
なにはともあれ、魔鳥のかしらを落とせたのだ。
勝利なのは間違いないだろう。
その筈だったが…。
「誰が終わったって?」
「ぬう?」
後ろからの殺気に気づいたドッコイが振り向く。
その先で、倒れた筈の魔鳥のかしらが起き上がる。
「こんなんでやられる程やわじゃねぇんだよ! あああああああん?」
先程よりも、更に怒りを増して怒鳴りつける。
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