第21話 魔鳥のかしら
突然現れた大きな魔鳥に、後ろへと下がる一同。
「まさか、親玉がいたなんて。」
「何でこんな場所にいるんだ。」
こんな森に囲まれたような田舎の村にいて良い相手ではない。
そんな親の魔鳥は、下がる一同へ遠慮なく詰め寄る。
「あ? どうしてこんな場所にいるのかって? そりゃテメェらが俺の子分を虐めたかろうがっ。それと、俺は親玉じゃなくてかしらだっ。ああん?」
「ひいっ。」
クエーーーーーッ!
魔鳥の頭は、一同に怒りをぶつける。
それにより、更に萎縮してしまう。
そんなイリアは、不安そうに魔鳥のかしらを見る。
「レ、レ、レリーアちゃん、な、な、な、何かガラが悪いのが来たよっ。」
「落ち着きなさいっ。とにかく、今は目を離さないように。」
相手は何をしてくるか分からない。
なので、警戒をし続ける必要がある。
そんな中、兵士の一人が剣を抜く。
「ひ、怯むなっ。こんな時の為の私達だろう!」
「お、おおう!」
兵士達が剣を抜いていく。
魔物相手に怯える訳にはいかない。
それを見たレリーア達も動く。
「相手が相手です。皆さん、私達も支援しますわ。」
レリーアの言葉に頷く生徒達。
そんな生徒達も、魔法で支援すべく手を構える。
それを見た魔鳥のかしらは、眉を潜める。
「なんだ? やろうってのか? 良いぜ。やってやんよ!」
「おっしゃ! 焼き肉にしてやんよ!」
「イリアさん!? 煽らないでっ!」
突然の煽りに、慌てるレリーア。
怒っている相手を煽れば、更に怒らせてしまう。
そんな魔鳥のかしらは、イリアを睨む。
「ああん? なかなか良い肝っ玉じゃねぇか。テメェ。」
「認められた!?」
「そっちもなかなかなものだね。」
「分かり合わないで下さいっ!」
謎の意気投合につっこみが止まらないレリーア。
それを見た他の生徒が脱力しながら苦笑する。
そんな中、兵士達が気を引き締め剣を構える。
「と、とにかく、これ以上、この村で悪さをするのはやめようか。」
「そんなのこっちの勝手だろう? それでも止めたきゃ止めてみなっ。」
「言われなくてもっ。さぁ、行くぞ!」
「おおーーーーっ!」
兵士達が剣を持って駆けていく。
その動きに怯えは無い。
それを見た、魔鳥のかしらはニヤリと笑う。
「かかったな。」
「え?」
その言葉に意表をつかれた時だった。
次の瞬間、一瞬にして兵士達が持つ剣がなくなってしまう。
「なっ、剣がっ!?」
「無い!? どこにも無い!」
一瞬の事で、何が起きたか分からないようだ。
後ろで見ていた生徒達を除いて。
「上ですわ!」
「上?」
レリーアの言葉に、上を見る兵士達。
そして、そこにある光景を見る。
兵士の剣を持っている沢山の魔鳥を。
「なっ、こんなに!?」
「あいつらが剣を奪ったのか!」
「そうさ。隙だらけだから貰っといたぜ。」
「ひ、卑怯なっ!」
兵士達の視線が魔鳥のかしらに向いている時を狙ったのだろう。
そのせいで、戦う事が出来なくなってしまった。
しかし、それだけでは終わらない。
「卑怯? 卑怯ってのはこういう事を言うんだぜ! やっちまいな!」
クエーーーーーッ!
魔鳥のかしらが叫ぶと、上空の魔鳥の一部が動く。
すると、その魔鳥達が持つ石を下へと放り投げる。
「う、うわぁっ!」
「っ! 風よ!」
落ちてくる石から逃れる兵士達。
それを庇うようにレリーアが魔法を放つ。
「レリーアちゃん。皆、私達も行くよ!」
「ほいよっ!」「任せて!」
頷いた生徒達と共に魔法を放っていく。
すると、落ちてくる石がばらけていく。
「そうくるかい。んじゃ、大きい石でも落としてやろうかねっ。」
「なっ!?」
今度は、岩と呼べるような大きな石が降ってくる。
それでも、なんとか踏ん張り石に耐える。
その姿を見た魔鳥のかしらが笑う。
「やるねぇ。でも、いつまで続くかなぁ?」
「ぬぅー。あんたは何もしてないくせにー!」
「だからっ、なんで煽るんですのっ!」
魔鳥のかしらを煽るイリア。
何もしていないのに偉そうなのが気に入らないようだ。
「ほう。そこまで言うなら、俺様直々に動いてやらぁ!」
「ほらーーーーーーっ!」
そこまで言われて黙っているような相手ではない。
高くに飛び上がった魔鳥のかしらは、下へ向けて風を起こす。
「おらおらっ。本家の風の魔法を見せてやろうかっ。」
「ぐうっ。なんて威力なのっ。」
風の魔法同士のぶつかり合い。
どちらも負けずに押し合い続ける。
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