第9話 生徒会長

そのまま男の後ろをつけていたのだが...


「...うわっと」ポチッ


「あ」


段差に躓いた拍子にボタンを押してしまった。すると...


「痛ってぇ...」


かなりの強さの電流が流れてきた。普通の人間なら気絶するレベルの電流だろうが、僕にはそこまでは効かない。


これは僕の予想だが、気絶した人間を運ぶ為に、位置情報などがボタンについている気がする。


「早めにボタンから離れないと...」


そう思い急いで歩き出して思い出した。


「さっきの大きい荷物を運んでいた人、もしかして今みたくスイッチを押して気絶した人を運んでいたのか?」


それが正しいのだとしたら、もしかしたらこれを色んな場所でしているかもしれない...


色々思考を働かせていると、ある可能性が頭に浮かんだ。


「...ヴィランがやっているのか...?」


スイッチを押して気絶した人をヴィランの拠点まで運び、洗脳やら脅しやらで無理矢理協力をさせる。そんな可能性もあるだろうか。


「だったら尚更運んでいる人の後をつけないと......もしかしてだけど、兄さんは...」


この手口でやられたのかもしれない。だとしたら大変だ。兄さんが敵だととても面倒くさいことになる。


この考えが正しい可能性はそこまでないが、万が一を考えると行動せざるを得ない。そのため僕はまた大きな荷物を運んでいる人を探すのだった...





あの後少し周辺を彷徨っていると、ある人物が目に入った。


「あれは...生徒会長...」


そう、僕が目に止まった人物は、僕の通う学校の生徒会長をしている人だった。


「確か名前は...原田洋介。確かこの学園で一番の実力者だったはず。だからきっと先生の推薦で生徒会長になったのだろう。いやいや、そんな情報どうだっていい。」


生徒会長は何をしているのだろう...地面を謎にしっかりと観察してメモをしている。もしかするとあのスイッチがそこにあるのだろうか。


「生徒会長〜、何してるんだ?」


「..,君は、村上くんか?」


「あ、はい。そうですけど。それより何やってるんですか?そんなに目を凝らして地面観察して。」


「いやぁね、最近この周辺で誘拐が多いらしいんだ。だから、その原因とその犯人を突き止めようとしているんだ。」


「なるほど。生徒会長として色々としないといけないのか。」


「あぁ、そうなんだよ」


「俺もこの誘拐事件の真相を知りたいから、手伝ってもいいか?」


「もちろん。でも、逆にいいのかい?なかなか面倒くさいだろうが...」


「あぁ、構わないさ。どうせ暇だし。一緒に真相を突き止めよう」


そうは言っても、兄が敵になる可能性を考えると大きな不安は消えなかった。




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無能力者で学園最弱と言われていた僕は実は学園最強で... ぷりず @puriz

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