第17話

 六年生の時だったと思います。校内での絵画コンクール。その年は全員が同じ本を読み聞かせしてもらい、そこから絵を描く読書感想画がテーマでした。

 タイトルも、作者も忘れてしまいました。お話しの細かい内容も殆ど憶えていません。


 記憶の断片を張り合わせるとこんなお話です。



 小鳥がいっぱい住んでいるある森がありました。大きな木がたくさん生えていて、小鳥たちは昼の間はその枝で遊び、夜は木の洞で眠ります。


 ある時、その森に巨大な梟がやって来ました。

 

 気の優しい小鳥たちは、巨大な梟を歓迎します。しかしなぜか梟とは言葉が通じません。小鳥たちが幾ら話しかけても聞こえないかのように返事をしません。


 夜の鳥の梟ですが、昼間の森を我が物顔で飛び回ります。小鳥たち餌場をその食欲で荒らしてしまいました。小鳥たちはみんなの餌場だから、と梟を説得しようとしますがやはり言葉が通じません。

 梟は森の一番古い巨木の大きな洞に寝床を構えました。そして洞の入口から大きなお尻を突き出して大きな糞をします。

 大きい糞の嫌な匂いが森中に漂います。

 気の優しい小鳥たちでしたが、このままではこの森で暮らせない、と集まって相談しました。


 小鳥たちはみんなで力を合わせ、この梟を森から追い出す事にしました。

 最初の小鳥が梟の巨大な体に急降下して、小さな嘴を突き刺しました。それを合図に森中の小鳥たちが梟に突撃します。ひとつひとつは小さな嘴ですが、森中の小鳥たちに突かれて、流石の梟も追い出されてしまいました。

 

 そうして、小鳥たちの森はまた静かな穏やかな森に戻りました。

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