第11話 どれいのくに

ゆうしゃとまおうは 『どれいのくに』の おおきなもんのまえに きていました。


ゆうしゃのしあわせを みつけるための まわりみちのとちゅうです。


『どれいのくに』は まえにまぞくにおそわれていたところを ゆうしゃがたすけてあげたくにです。


なので、たすけた くにが いまどうなっているのか、ゆうしゃは きょうみがありました。


ですが、ゆうしゃとまおうは 『どれいのくに』に はいれません。


もんばんのひとが、ふたりを とおせんぼしているからです。


ゆうしゃは ききます。


どうしてなかに はいれないんですか? 


もんばんのひとは こたえます。


ここは『どれいのくに』なので、『どれいしょうにん』か『どれい』しか はいれないのです。


まじめなかおの もんばんのひとは、いじわるをしている わけではなさそうです。


ゆうしゃは もうすこし ねばります。


わたしは ゆうしゃです。いぜんは このくにのなかに いれてもらえましたよ。


もんばんのひとは おどろきます。


おお、ゆうしゃさまでしたか。そのせつは おせわになりました。まぞくをたいじして いただいたおかげで、このくには へいわになりました。


もんばんのひとは ふかくあたまをさげて、ゆうしゃにおれいを いいます。


ゆうしゃさま、ほんとうにありがとうございました。ですが、いまはもう へいわなので、ゆうしゃさまを とくべつあつかいするわけには いきません。みんなとおなじ ルールにしたがっていただきます。


もんばんのひとは おれいをいったあとに、やっぱりふたりを とおせんぼします。


あたまのかたいやつねぇ、と ゆうしゃのせいけんが ケンカごしにもんくをいいだしたので、ゆうしゃは まおうといっしょに あわてて もんばんのひとから きょりをとりました。


どうするんだ? はいれないみたいだが。


まおうは ゆうしゃについてきているだけなので くにのなかにはいれなくても どうでもよさそうですが、ゆうしゃは あたまをなやませています。


まさか いれてもらえないとは おもいませんでした。でも、それが『みんな』のきめごとなら しかたありません。う~ん、う~ん。


あたまから ゆげがでそうなくらい ゆうしゃは かんがえます。


そして、めいあんを おもいつきます。


ゆうしゃとまおうは もういちど もんばんのひとの まえにいきました。


ようこそ『どれいのくに』へ、このくには『どれい』と『どれいしょうにん』しか はいれませんが、よろしいでしょうか?


あたまのかたい もんばんのひとは、ふたりにもういちど おなじあいさつをしました。


ゆうしゃは えがおで こたえます。


だいじょうぶです、このひとが どれいなので。


まおうを ゆびさして、こたえました。


まおうのくびには くろいくびわがあり、そこからのびた くろいくさりは ゆうしゃがにぎっています。


まおうにおねがいして つくってもらった、そくせきの くびわとくさりです。まおうほんにんは ふきげんそうなかおを しています。


もんばんのひとは えがおでこたえました。


おお、でしたらだいじょうぶです、おとおりください。それにしても、くびわにくさりとは、ずいぶんと ふるめかしいスタイルですね。


もんばんのひとは それいじょうふたりをとめることなく、ふたりはようやく『どれいのくに』のなかへ はいることができました。


おいおい、こんなんでいいのかよ? にゅうこくチェックが あまいんじゃないか?


あまりのセキュリティのゆるさに、まおうは おどろきます。


とりあえず『どれい』って いっておけばいいなんて、おかしなくにね。と、せいけんも まおうにどういします。


ともあれ、ゆうしゃたちは『どれいのくに』の おおどおりをあるいていきます。


おおどおりは とてもにぎわっていました。


このくにのなかには 『どれいしょうにん』と『どれい』しかいないはずなのに、みんなえがおに あふれています。


みわたした だけでは、だれが『どれい』なのかも わかりません。


ゆうしゃたちは おとこのひとに こえをかけられました。


おやおや、くびわにくさりなんて ずいぶんと こふうだねぇ。かわいらしいかおをしているけど、しょうねんのやといぬしは そんなにきびしい ひとなのかい?


おとこのひとは えがおですが、すこしだけ まおうのしょうねんをしんぱいするような くちぶりです。


ん、おれのことか? まあ、きびしいといえば きびしいやつかな。おれを どこそこへと つれまわすんだからよ。


まおうは じょうだんめかして こたえます。


おや、それはよくないねぇ。おじょうさん、『どれい』とはいっても きちんとしたけんりを もっていることをわすれてはいけないよ。


おとこのひとは、すこししんけんに ゆうしゃをしかりました。


ゆうしゃは じぶんがしかられたので おどろきます。


ひとの『どれい』に わたしがくちをだすことでもないけどね、このくには『どれいのくに』だから、『どれい』のけんりには とてもきびしい。あまりかれに むりをさせないようにね。


そういって、おとこのひとは どこかへといってしまいました。


……あの、わたしがわるかったんでしょうか?


ゆうしゃは まだ とまどっています。


さあな、こっちがおもってた『どれい』のイメージと、じっさいは ちがうのかもしれないぞ。


まおうも このくにでの『どれい』のあつかいを ふしぎにおもいながら、にんげんたちは おもしろいな なんてかんがえました。



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