◆#8 甘い声

 抵抗する様子はない。

 ただ、種崎さんは恥ずかしそうに視線を外していた。

 息には熱がこもる。

 加速していく心拍数。

 自然と手汗がにじみでる。


 気づけば種崎さんは、俺の胸のあたりに触れていた。さわさわっとスキンシップ。


 くすぐったい……。

 けど、とても気持ちがいい。



「…………」

「服、脱がすね」



 見つめていると、種崎さんは俺の服に手をかけた。

 サービス精神が旺盛というか。

 俺の興奮をより増大させた。


 上と下と剥がされていく俺の服。

 ほぼ半裸となった。

 そして今度は俺が種崎さんを剥いていく。

 宝石に触れるように慎重に、丁寧に――。


 露わになる全て遠き理想郷。

 ――って、まてまて。


「しょ、勝負下着!?」

「…………そ、そうなんだ。つけてきちゃった」


 テヘっと種崎さんは誤魔化すように笑った。

 こ、これは……派手すぎやしないか。

 学生でこれはスゴいな。

 大人ってカンジだ。

 これを見せつけられては、もう後戻りはできない。……ああ、正直言ってたまらん。

 ギリギリ見えないからこそ良いというのも分かる。

 だけどもう我慢できない。



「と、取るよ」

「……う、うん」



 全てを取り払い、俺もまた無防備な姿を晒す。

 ……さて、もうやるべきことは決まっている。


 あとはひたすら種崎さんを満足させるだけ。それから……。


 彼女隅々まで徹底的に触れていく。

 時折漏らす甘い声に俺は脳がとろけそうになった。


 あれから数十分と種崎さんのあらゆる部位をほぐした。準備は整った。


 いよいよ本番だ。

 紳士のたしなみを装着。



「いくよ」

「きて……」



 0.3秒で終わらせたくはない。

 そんな思いで俺は彼女と…………。



 * * *



 頭が真っ白になった。

 廃人のような、そんな感じに俺はなっていたと思う。


「………………おふぅ」

「疲れすぎじゃない、新谷くん」


「すまん。本気出しすぎて頭が痛い」

「そうなるの……!?」

「なるみたいだ」


 脱力感が半端ない。

 今回、0.3秒ではなかっただけ良しとしよう。よくぞ耐えた俺!


 最高すぎて記憶のほとんどが吹っ飛んでいる。


 ひたすら種崎さんのことを愛していたと思う……。


 むぅ~…うん、多分そのはずだ!

 集中しすぎて忘れた。

 でも、俺はようやく本気でヤれた。


「今日は良かったよ。三分だったけど」

「え……たったの三分だった?」

「うん。それしか持たなかったね」


 おいおい、三分ってマジか。

 俺の体感では三十分だったけどな!?


 くそおおおおおおおぉぉぉ……!!


 まだまだ修行が足りないのか。

 てか三分ってカップ麺かよ。


 でも記録は塗り替える為にあるのだ。明日はきっともっと記録を伸ばせるはずさ。


「そ、その種崎さん」

「ん?」

「俺なんかで満足できてる?」

「今日はマシだった。あと新谷くんって普通の人より大きいから……好き」

「…………っ」


 それは参ったな。いや、嬉しいけど!

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