第25話 カットアップ「世界を売った男」/「白い悪魔とブラウニー」
それらはすでにロッジを囲むようにして立つ針葉樹の森を覆い隠していた。
「君は狂っているのか」 部屋の中央にあるテーブルには両親も、弟のケンジも妹のアキ子もいる。 「君には一つの判断が委ねられている」 口元に大きく皺を寄せてウインクするその表情はどこか演技的なところがあり、こういったオーナーのことが佑介は嫌いだったが、今は何故かイヤにならなかった。
窓のガラスにヤモリが張り付いている。 それどころじゃないそうよ、母親が言った。 彫りの深い顔立ちに高い身長を誇るその男は、踊り場から、十段ほど上の位置から私を見下ろしていた。
「その人物はとっくに死んでいるし、もし生きてるとしたら200歳を超えている……」
ブラウニーケーキだ。 「コーヒーお待ち」 行動のトロいケンジはいまだにケーキもコーヒーも片付けていない。
階段は一段一段が高く歩きづらかった。 建設されてから数十年の年月を思わせる建物は、鉄筋コンクリート造りであった。
君は選ばれたのだ。 その物腰、話し方、そしてルックスは、男がその人物であると思わせるのに十分なまでの説得力を持っていた。 紅茶を飲むのか?と、男が問いかけた。
その時もフォークの上に小指の先ほどのかけらを乗せて、ゆったりとした動作で口元に運んでいた。
ジャンク・パーツ・ショップ(作品集) 馬村 ありん @arinning
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