第8話 神への生贄①

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ナマリ「やっと…見つけましたよ。さぁ行きましょうか。あなた達は大事な【神への生贄】なんですから。」


私達を見て不気味にニタリと笑うナマリさん。生贄?どういう事?…でも馬鹿な私でも分かる。ナマリさんは…味方じゃない。


…となると…


ひすい「まさか…貴方がケムタタさんが言っていた『裏切り者』なんですね。」


ナマリ「『裏切り者』?人聞きが悪い。島の繁栄の為に行動しているだけですよ」


あはははっと甲高い声で笑うナマリさん。その様はとち狂っている人そのものだ。こっ怖い…暴動の主犯が目の前にいるなんて…


でも…大丈夫よ。相手がナマリさん1人だけなら、3人で何か対策を取れば逃げ切れる!


そう考えていた矢先…

さらに私達の状況は悪い方へ向かう。


ガササッ ガササ


ナマリさんの後ろで木々が大きく揺れ出した。複数人いそうな揺れに緊張感が走る。



みふる「もっ…もしかして…」


ナマリさんとの距離が1番近いみふるちゃんは顔をさぁぁと青ざめる。


ひすい「みふるっ早く!こっちに走って‼︎‼︎」


みふる「はっはぃ…っ!」


ジャリッ……


私達に向かって走りだそうと一歩踏み入れたその瞬間…


ザシュッ(弓矢の音)


みふるちゃんの右足から数センチ。まるで行く手を阻むように。弓矢が砂浜に突き刺さった。


みふる「ヒィィィ!ゆゆゆ弓矢がっ!」


もし…少しでもズレてたら…みふるちゃんの右足は…


ひすい「……っ…この野郎っ…」


ナマリ「あぁ…来ましたね。待ってましたよ。皆さんっ【生贄】の3人を捕えなさいっ!」


ナマリさんの掛け声と共に木々から複数人の村の男達がワラワラと現れて…私達3人に襲いかかった。


屈強な複数人の男達に太刀打ちなんてっ…でも何もしかったら捕まっちゃう!!


「えっ…えいっ!このっ!」


ポコッポコ!


砂浜に落ちている貝や石を投げて、必死の抵抗したものの効果は一塩もなく、私は簡単に捕まってしまった。


ドスンッ


地面で羽交締めされ、少しでも動くと…とても痛い…



男1「…許せ…これは島の為なんだ…俺だって本当はこんな事っ……」


「……………」


強い力とは裏腹に悲しそうな声で私に囁くお兄さん。


このお兄さん…本当はこんな事やりたくないんだ…他の人達を見ると一部の人が嫌そうな顔をしている。…これは説得すれば何とかなるんじゃ…


「あっあのっ…」


お兄さんに声を掛けたと同時に、後方で何か鈍い音がした。



バキ ドカッ ダァァン!!



男性2「この女…強い……」ガクッ


ひすい「すぅぅ…あと2人…」


息を吸い込む押領司さんの周りには2名の男達が白目を剥いて倒れいた。…すごい…押領司さんって格闘術もできるんだ。


あんな華奢な体とは裏腹にパワーがあるなんて…



ナマリ「ふふっあははっ!流石ですねぇ。女だと舐めていましたよ。」


突然、ナマリさんが笑い出す。


ナマリ「でも良いんですか?暴れても…」


そう言うと彼はナイフを取り出し、みふるちゃんの後ろに回り込むと…首元にナイフを突き立てた。



みふる「ひっ!!」


ナマリ「このお嬢さんの首元を掻っ捌きますよ?」


ひすい「みふるっ…やめろっ!!!!刺すなっ!!!」


一歩でも動いたら、本当にナマリさんはナイフを首に突き立てる気だ。



ひすい「ナマリ…テメェ……あぁクソッ!!」


押領司さんは悔しそうに両手を上げて、こう言った。





ひすい「言う通りにする。だから…みふるを殺さないでください…」






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世界が夜に包まれる前に〜7つの鍵を探して〜 カントリー @clearchilled

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