第17話 俺たちの人生への切符

何事もなく僕と京佳さんは片付けを終え寝かけていた。


布団に入った僕は本当にいいのか!?と思い、最終確認をする。


「本当にこのベットで2人で寝るのですか?」


トイレから帰ってきた京佳さんはビクッと、反応した。


「ふ!布団これしかないから!しょうがないし!私は全然気にしてないから!!」


「恥ずかしそうで目がめっちゃ泳いでいるのですが、本当に大丈夫ですか?」


京佳は焦っているのか

「う、うん!!大丈夫だから!!」


京佳さんは目を逸らし、髪をくるくるをし始めた。


僕には大丈夫そうに見えなかったため、さらに深追いをしてしまった。


「本当に僕たち同居していたのですか?」


京佳さんは過去一に顔が混乱していて、可愛かった。


「え!?いや!?し、してたよ!?」


なぜか強調と疑問が混ざり、目を逸らしながら、髪くるくるをし続ける。


「本当に僕たちは同居していたのですよね?なぜ布団が2人分ないのでしょうか?」


「そ、それは…」


京佳さんは行き詰まってしまった。


僕はラストアタックとして問いかける。


「本当は同居していないのですね?」


「布団がボロボロだったから!起きたときに一緒に買いにおこうと思って!!」


僕たちの声は重なった。


だが、京佳さんはいまだに髪くるくると目を逸らしながら泳いでいたため、嘘だということに気がついた。


「京佳さん。僕のために嘘はつかなくていいので、本当のことを教えてください」


京佳さんはなぜか落ち込んだように見えたが、僕に正直に話してくれた。



「僕の両親は亡くなり、家は焼けなくなったため、嘘をついていたのですか」


僕が納得すると、すぐに話し終わった京佳さんは謝ってきた。


「嘘をついちゃって、本当にごめんなさい!」


僕を励まそうとしてくれ、頭を下げた京佳さんに申し訳なくなってしまった。


「気にしていないので、頭を上げてください」


京佳さんは無言で数秒後に頭を上げ、1つのベットで背を向け合い、気まずく寝たのであった。



後日、朝ごはんをぶ…途中で京佳さんがスプーンを間違えて使ってしまい、間接キスをしてしまった以外は無事に朝を迎えられた。


「ごはん美味しかったです。ありがとうございます」


「あ、ありがとう」


それから、僕は特にすることはなかったため、京佳さんに街をぶらぶらすれば、何か思い出すかも!と言われたので、街をぶらぶらすることにした。



約束の時間12分が過ぎたところで京佳さんは家から約束の場所玄関に来た。


京佳さんの服装は黒色のミニスカに、紫色のペプラム、黒色のUVカットシャツ。


可愛いなと思いつつ約束の時間を守れない人なんだなは心の中に封印しておいた。


「可愛いですね。」


「え!?本当!?」


顔におしゃれして良かった、時間は守れなかったけど…と丸わかりであったが、本人が喜んでくれているのなら、別にいいだろう。


京佳さんは目を逸らし、髪をくるくるしていた。


「はい。では行きましょう」


「う、うん!!」


僕らはショッピングモールに向かった。



今日は平日であるため、バスは空いているかな、と思ったが、そんな都合の良いはあまり起こるわけがない。


僕たちはバスに乗り、周りを見ると通勤ラッシュのせいか地獄絵図と言っていいほどの人の数だった。


僕たちは後方の席まで押し出され、立ち止まった。


「バス、空いていると思っていたのですが、通勤ラッシュの時間帯なので、逆に混んでいますね」


「うん。もう少し遅めに来るべきだったかもね」


京佳さんは目を逸らし、髪をくるくるした。


今は8時15分過ぎの通勤ラッシュの時間帯。

ショッピングモールまではバスで25分ぐらいだから、約80分ぐらい待たなけばならない、


それより、前の人ごっついな。


「まもなく猪野、猪野」


運転手は次に停まるバス停の名前を繰り返し言った。


アナウンスが流れると、話すことがなくなってしまい、かなり気まずい雰囲気が流れた。


僕らは今、向き合っている。


何を話せばいいか僕にはわからない。


僕は無理矢理話題をつくろうと考える。


思いつかない………


と、とりあえず、好きな物とかを聞いてみた方がいいのかな?


「あ、あの」


僕が聞こうとしたとき、バスの扉が開き、ごっつい人が無理矢理出て行き、その途中で京佳さんの背中を突き飛ばすように当たった。


「キャッ」


体勢を崩した京佳さんを僕は抱き抑え、手を繋いだ。


「え?恋太郎?」


ごっつい人を追いかける。


僕はペースアップした。


「ちょっと。もういいから、恋太郎!落ち着こ!!」


京佳さんは僕のやることに気づいたのか、僕の服を引っ張り返した。


まるで綱のない綱引きをしているように。


「落ち着けない!あいつは京佳さんを突き飛ばしたなのに!何にもいって来なかったんだぞ!?」


それは後先も考えていない子供の姿を僕は怒っていた。


京佳さんの手を振り払う 

 

「恋太郎!!もういいよ…」


僕は京佳さんの言葉が耳に入って来なかった。


ごっつい人を追いかけよう。

京佳さんを傷つけたやつに謝ってもらおう。


僕の獲物を狩る目となり、走り出そうとしたとき。


「もういいよ!!だから…いかないで…?」


京佳さんは両腕で僕の身体を抱きしめた。


「お願い………」


心臓がバクバクと動き初め、獲物を狩る目から恋をしたような目に変わった僕はその場でダウンした。



僕は空と雲を拝見、学園の人気者の京佳さんの太ももを堪能しています。


あぁ、天国だぁ。


「おはよう。恋太郎。わ、わたしのふ、太ももはどうだった!?」


謎に疑問もまじってる!?


京佳さんの目は今にも飛び出しそうに泳ぎまくっていた。


ど、どうしよう!?

な、何を言えばいいんだ!?


僕は咄嗟に思いついた言葉を言う。


「天国です!!ありがとうございます!!純粋な京佳さんの恥ずかしがっている姿!!ものすごく可愛いです!!」


「ほ、本当?」


京佳さんは嬉しそうに目を逸らし髪をくるくるしていた。


2人とも恥ずかしい思いをし、時間もあったため、歩いて向かうことにした。



歩いて約10分。

僕はショッピングモールから少しズレた道、昼でも薄暗い裏路地を歩いていることに気づいた。


「あ、あの、京佳さん。ショッピングモールから遠のいていませんか?」


「あ、バレちゃったか。なら、もう隠す必要はなそうだね。恋太郎。実は私、美容師になったんだ」


京佳さんは後ろで手を組み、満面の笑みで語った。


「私はね。恋太郎が起きたときに髪を切ってあげたいなと思って、美容師になったの。だから、私の夢を叶えてくれる?」


京佳さんはまた髪をくるくるした。


いや、この裏路地に美容院や床屋はない。


しかも、僕は目を逸らさないように全力で我慢している京佳さんに見えた。


「京佳さん。もう嘘をつくのはやめませんか?」


僕はなぜか思い出してしまった。


京佳さんが嘘をつくときは…


「僕は前の僕を知りたいんだ」


真剣な眼差しで訴えた。


「え?」


京佳は喪失したように、行き詰まったように、僕を騙そうとしていたように、泣きそうな表情で僕に覚悟があるのかと問いかけた。


「恋太郎………前の恋太郎を思い出してしまったら、この日常を取り戻すことは難しく…不可能になってしまってしまう………それでも、恋太郎はそう言えるの?」


京佳は数秒、間を開けてから重い空気を出し、問いかけてきた。


僕はここで思い出さなければ、後悔すると何かが小さな声で訴えかけてきている。


「ああ」


この選択が地獄への切符だったとしても…


京佳さんの幸せを奪っていく切符だったとしても…


僕は…


俺はこの選択が正しいと思ったからだ。

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俺が創作したSCP100体が日常に出始めてきた!? バナナ様は神様 @Banana42345

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