第16話 僕は長い長い夢を見ていたのかもしれない

僕は長い長い夢を見ていた…




ア゙ァァァァァ!!


頭が痛い!痛い!


ア゙ァァァァァ!!


頭が裂ける!!


僕は猛烈な痛みを感じながら、一部の記憶を取り戻した。


-

京佳のお母さん?


京佳のお母さんは俺に銃を向けていた。


「君は神ではない…悪魔だ。」

-


誰だ!?なんで知らない人の名前が勝手にでてくるんだ!?


ア゙ァァァァァ!!


-

巫?


「巫、どうやって虎神を鎮めるんだ?」


「簡単さ、相棒。ここの100人を鎮めるだけだ。」


巫はこれまでにない笑みを両手で自分の両頬の皮を破った。

-


誰なんだ!?


ア゙ァァァァァ!!


-

松村様?


「頼むぞ!!古俣!!」


俺は清華に崖から突き落とされた。

-


本当に誰なんだよ!?


ア゙ァァァァァ!!


-

「そこで…待…て…て…」


俺は力が入らなくなってしまった。

-


ア゙ァァ………


僕はベットから飛び起き、頭の痛みから一瞬で恐怖へと変わり、僕は青ざめた。


息が荒い、両腕はビクビクと震え、まるで目の前で大切な人を痛めつけられている気分だ。


僕は息と心を落ち着かせながら、これは悪魔だったこと、今病院にいることを認識した。


「僕はなんでここにいるんだ?」


目をつぶり、深呼吸を2回した。


ついている人工呼吸器統を外し、窓側から両足を下ろした。


桜の葉が散っている。


両足を床につけると僕は立ち上がった。


とりあえず、僕がなぜ入院していたのかを案内所に聞きに行こう。


僕は案内所に向かおうと、病室の扉へと歩いていると、後ろから何者かの気配がし、振り返った。


「流石だ。相棒。」


僕はこの人の顔を見ると、見覚えがあるようでないような気がした。


「誰ですか?僕に何か用があるのですか?」


窓が開いている。

桜の木と病院との距離が結構近いため、木を登って飛び移ってきたのだろう。


「相棒が起きてくれると、神が言ってくれたからな。」


この人は頭の後ろに右手を添えながら、ふざけめに言った。


「さ、冗談は置いておいて、本題だ。相棒、おまえにこれを渡しに来た。」


ノートを渡してきた。

僕はそれを手に取り、ノートに視線を向け、少し確認した。


「はい。これはなんでしょうか?」


僕が質問したときにはこの人はいなくなっていた。


「なんだったんだ?」


僕は意味のわからないまま、渡されたノートにもう一度、確認しようすると、病室のドアが開いた。


パキン


僕はドアの方に振り返ると、呆然としていた女性が花の入った花瓶を落とし、僕を見ていた。


「え…?恋太郎…?」


「はい?どちらか様でしょうか?」


「えぇーーー!?」


2029年11月12日13:26


僕はその女性から僕が植物状態になっていたこととその期間、昔の僕について、聞いた。


「えーと、僕の名前は古俣 恋太郎で、植物状態は約4年半ぐらい…」


京佳はうんうん、と頷きながら、聞いていた。


大半は植物状態の人は6ヶ月以内に死ぬ。

適切な治療をしてくれたから、回復したということ。


院長たちに感謝しなければいけない。


「じゃあ!私、報告してくれるね!」


京佳さんは病室を急いで出ていった。


おそらく院内を走って案内所か看護師のところへ向かったのだろう。


それより、よく回復したな、と思っている。

5年経過したところで回復する確率は3%。


僕にも感謝しなければ、ならないな。

記憶喪失になってしまったが…


僕は京佳さんがいなくなったところで謎の人から渡されたノートを確認する。


表面を見てみると、ノートの持ち主の名前は古俣 蓮太郎、と書いてあった。


僕が教えてもらった僕の名前と似ていたが、「恋」と「蓮」なので、これは別人だろう。


人間違えで渡された可能性が高い。

これは持ち主の人に返しておこう。


と思いながら、割れた花瓶と花を片付けた。


2029年11月18日10:27


僕はあれから、1週間入院し、手続きを済ませて退院した。


私服のない僕は入院服で帰るしかなかったのだが、京佳さんが僕に服を買ってきてくれて、それに着替えさせてもらった。


「服、ありがとうございます。」


僕は京佳さんに頭を下げてお礼をした。


「大丈夫!大丈夫!いつもお世話になっていたからね!」


お世話に?僕は優しい人だったのかな?


その後、僕はなぜか幼馴染と言い張っている京佳さんと帰る場所もわからないまま、どこかへ帰っている。


僕はなぜか恥ずかしさは感じていないが、空を見上げ、あの形の雲、中指立てている腕みたいだなー、と思っていた。


「恋太郎?空を見上げて黄昏れているけど、どうしたの?」


「僕は雲を見ていました。」


見ていた中指を立てている腕の雲から少し離れた雲を指差した。


だが、僕はやかしに気づいてしまった。

明らかに見ていた方向と75度離れていたことを…


気づいた僕は指差しをやめて話題を逸らす。


「京佳さん。そう言えば、僕の家はどこにあるのですか?」


僕はどこに住んでいたのかを聞いた。


京佳さんは気まずそうに明るい雰囲気から少し暗い雰囲気に変わった。


「恋太郎は………私の家だよ!!」


目が慌てていますけど!?


僕は京佳さんが僕の名前を言った後、急に雰囲気が変わった。


しかも、私の家って、まさかの同居!?


僕はあまりのも衝撃でびっくりした仕草を一瞬見せ、言葉が詰まってしまった。


頑張って声を出せ、僕!


「もしかして、記憶喪失になる前から、同居していたってことですか?」


僕は恥ずかしくなって、京佳さんの目から胸元に目線がいってしまった。


「え!?いやいや!?違う違う!!帰る家がないから泊まっていってってこと!!あ…」


京佳さんは慌てて僕に対して、説明ぽいものをしてくれたが、やらかしてしまったと悲しそうな顔を少し下げた。


僕はなんて勘違いを…


ん?家が無いって、まさか僕、居候かホームレスだってってこと!?


僕は京佳さんの胸元から目に視線を戻し、頼み事をした。


京佳さんには申し訳ないけど、帰る家がないから、今日は泊めてもらうしかないのか…


「京佳さん。落ち込まないでください。僕は泊めてもらう身なので…」


京佳さんはそうだね、と言い、悲しそうな顔のままだった。


11:24


僕と京佳さんは京佳さんの家の入り口に着いた。


京佳さんの家はマンションだった。


僕はついてきて、と言われエレベーターに乗り、京佳さんは4階のボタンを押した。


4階まで上がると、鞄から鍵を取り出した京佳さんは403と書かれた部屋のドアを開けた。


「本当に入ってもいいのですか?」


僕は女性の部屋に入った記憶がなかったため、心配のあまり言葉にしてしまった。


「大丈夫!大丈夫!あ、でも汚いのは気にしないでね!」


僕は汚いとはどれぐらいのレベルなのだろうと思った。


レベル1 チラシなどが少し散らかっている状況

レベル2 食器や洗濯物などの洗い物ができていなず、溜まっている状況

レベル3 掃除はされているが、いろいろと散らかっていて足場がかぎられている状況

レベル4 掃除ほぼされずに足場がほぼない状況

レベル5 掃除はされずに足場などない状況


僕はなるべくレベル2か3の中間あたりまでがいいな、と思いながら、京佳さんの部屋にお邪魔した。


「お邪魔します。」


僕は靴を脱ぎ、踵と踵を揃えて部屋を見渡した。


あー、そうことか。


僕はレベルになかった掃除と整理整頓はできているが、物が多すぎて部屋が狭い状況てまあった。


「大丈夫!これでも私は生活できているから!」


京佳さんは誤魔化すように主張した。


泊めてもらう立場だけど、これは溜まっていく前に処理しなければ…


「京佳さん?この後、用事はありますか?」


「え?いや、ないけど?」


京佳さんは何をするの?と顔に現していた。


「では、この部屋を片付けましょう。」


僕は顔をにこやかに京佳さんを見めて言った。


「う、うん…」

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