悲鳴を上げる心を、べったりとなすりつけたような

フランスの哲学者サルトルは、「地獄とは他人のことだ」という言葉を残しているそうです。
この作品には、他人という地獄で悲鳴を上げるひとりの人間が描かれています。
そしてその描写は極めてリアルに、現代の若者が普遍的に抱えている地獄を浮かび上がらせているように思います。
魂を削りながら書いたのではないかと思えるような筆致には、圧倒されずにはいられません。
そして地獄からの救済も、他人にあるという希望。