第2話 資料に現れた、理事長栗原英治君の驚愕の陳述

1、再審査庁から2024年5月8日に送られてきた審査資料集を読んでいて、正五郎の母親である南埜和子も父親である私・南埜純一も茫然自失に陥ってしまった。順心病院理事長栗原英治君の担当官への陳述は、正に驚天動地であった。息子正五郎から聞いていた内容と余りにもかけ離れていて、虚偽を承知で担当官に語っているのであれば、後に述べるような刑法上の犯罪が成立する可能性があるからだ。そしてこの栗原英治君の陳述が虚偽であれば、パワハラ隠しやその他の不可解な出来事の辻褄が、全て私や妻和子の間ではピタリと、そう、驚くほど辻褄が合うのだ。


2、審査資料集P104に栗原英治君が曰く、「令和3年1月7日、Aという労災患者さんの右鎖骨の骨折部位を接合する手術を行っている際に医療事故が発生しました。手術は、鎖骨を整復して固定することを目的としていましたが、途中大量の出血があって、手術は目的を達することが出来ませんでした。私は、手術室から呼ばれまして、私がAの止血をしました。出血自体は、通常の対応をしていれば、命に別状はないようなものでした。南埜先生は、私が止血作業をする際、患者から離れてぼうっとしていましたので、私は八田先生と二人で止血作業をやりました。Aの鎖骨の一部を切除したのは、八田先生だったと思います。~」(2022年7月12日の労働基準監督官への陳述)


息子正五郎から聞いていたのは、当日、理事長栗原君は手術に立ち会っておらず、「僕がいてたら、こんなことになってなかったんやけど(この意味は、①僕がいてたら出血事態は避けられたと、②木嶋雄介によるパワハラは防げたの、二点であると正五郎は理解)」との、後日栗原理事長から正五郎に伝えられた言葉であった。


どちらかの言葉が虚偽なのであろうが、正五郎と理事長のどちらに嘘を吐く高い必要性があるかという観点からは、判断はそれほど困難ではないと思われる。いずれにしても、理事長の言動が虚偽であれば、作成した文書の種類や内容によって罪名が決まることになるが、虚偽診断書作成罪や私文書偽造罪その他の犯罪の成立可能性は、警察の捜査により明るみに出ることを願っている。なお、虚偽診断書作成罪の時効は3年で、時効成立の可能性が高いが、3年以上に及ぶ可能性ある犯罪も考えられることから、患者さんへの虚偽説明との関連で、捜査機関の適正な捜査を望みたい。


3、以下、この理事長が関与していない手術に関与したという点に関して、病院スタッフの陳述を絡め、その真偽を次に検討していくことにする。が、なぜ私が2021年1月7日の手術への栗原理事長の関与があったか否かにこだわるかというと、この虚偽事実とパワハラがあったか否かの判断が密接不可分というか、分離不可能な程度に社会的に結合していると考えるからで、この点は論述を進める過程で様々な虚偽が明るみに出ることから、その段階に至って、読者の皆さんには筆者及び遺族の怒りもご理解いただけると思う。


①看護師その他のスタッフの、労働基準監督官への陳述を検討する前に:❶個別の看護師その他のスタッフの陳述を記載する前に、正五郎の死に先立つ27年前に亡くなった父・南埜宏の裁判における、医師と看護師さんの証言を記載して、読者の参考の用に供したい。読者に先入観を抱かせアンフェアーではないかとの批判が寄せられるかもしれないが、病院相手の争訟の現実(信じがたい程ウソが横行)を直視すれば、この程度の弱者側のアドバンテージは許されてよいのではないか。実際、巧妙に細工された―――やりたい放題、言いたい放題のウソを目の当たりにすると、その都度、言い表しようのない怒りが込み上げてくるのである。


❷さて、30年前になってしまったが、父が亡くなった耳原病院事件に場面を移すと、ナースがナースステーションを空けていたのが父の死の原因であると、当直医も担当医も我々夫婦に語っていた(ついでに言うと、看護部長は我々夫婦の前で「許してください。看護婦が悪いんです。でもこれは理由になりませんが、看護婦は忙しいんです。本当に一生懸命なんです」と延々二十分近く泣き続けたが、裁判では、「あれは長い間お世話をしていた方が亡くなったので、悲しくなって泣いただけです」と陳述内容を替え、また泣いて謝ったのは道義的な謝罪で、法的なそれではないと述べたのだった)。看護師トップの総婦長(看護部長)の登場を見たことで、当直医と担当医の陳述の流れが途切れてしまったが、場面を我々夫婦が非常に高い信頼を寄せていた二人の医師(当直医と担当医)に戻すと、彼ら二人は、ナースがナースステーションを空けていたという、そんなことは言ったことがないと裁判所への提出書面で明らかにしたのであった。そして裁判所の証言台に立ったナースは、「ナースステーションを空けていたということはありません。私が真っ先に人工呼吸器の外れに気付いて、心臓マッサージを施して南埜さんを蘇生させたんですから」と臆面もなく述べたのだった。なお誤解のないように記載するが、父は食事をしテレビ等の娯楽を楽しむ入院生活だったが、肺機能の低下により人工呼吸器を装着していたのであった。これがため、声を出して助けを求めることが出来なかったのである。


このナースの証言により、当方は万事休すというか、非常に困難な状況に陥ったのであった。では、なぜ謝罪と解決金の支払いという実質勝訴の裁判上の和解が耳原病院との間で成立したのか。それは先程のナースが、先の証言に続き、まさかと思う以下の証言を付け足したからであった。


「私は前々から上(病院幹部)には言ってきたんですよ。南埜さんは容体が急変するから、ナースステーションから一番遠い個室へ入れたらアカンて」


このナースの証言は、看護師の看護ミスを自らの口で否定したが、その同じ口で病院の患者に対する安全配慮上の管理ミスを認めてしまったのだ。いわゆる裁判上の自白と言われる不利益陳述で、病院側は敗訴の危険にもろ直面し、原告たる当方には九回裏に相手ピッチャーの失投で、逆転満塁ホームランがもたらされたのだった。


②2021年1月7日の手術室での状況を語る、順心加古川病院のスタッフの陳述

 

❶まず先に述べた栗原英治理事長の陳述に関して、筆者である私の感想を付け足すと、そもそも理事長は2021年1月7日の手術室へは呼ばれていなかったのであり(出張による当日の病院不在なのか、私には分からないが)、【私が止血をしました】などはありえない事実である。なので【南埜先生は、私が止血作業をする際、患者から離れてぼうっとしていましたので】の状況描写は自分が見知ったように装っているが、全くもって程度の低い創作であり、タチの悪い冗談以下としか言い得ないもので、正五郎の父親である筆者やその妻である母親にとっては、不愉快極まりない【取り繕い】である。【八田先生と二人で止血作業をやりました】なども栗原君は手術室に居ないので、凡そあり得ない事実描写である。しかも【Aの鎖骨の一部を切除したのは、八田先生だったと思います】などの表現は、どう考えても「おかしいやろ!」 八田医師が、正五郎に代わって止血のために鎖骨の一部を切除してくれたのは事実であるが、当日もし栗原理事長も手術室に居たのであれば、【思います】などの表現は出るはずのないもので、正に呆れてしまうのだ。


❷以上を前提に、看護師さんの陳述に繋げると、小山有記看護師曰く:「日付は全く覚えていませんが、南埜先生が労災患者さんの鎖骨に対する手術を行っている際に想定外の出血が発生しました。私は、そのとき手術室に居ましたが、ずいぶん前のことですので、誰が何をしているときに出血があったのかは覚えていません。鎖骨の一部を切除したのかどうかもよく分かりません。手術室にいた先生は、南埜先生と木嶋先生だったのですが、労災患者さんの鎖骨から出血して後、誰かが呼んで、八田先生、栗原先生、もしかしたら黒田先生も手術室に来られたと思いますが、よく覚えていません。~」(2022年7月5日の担当官への陳述である。正五郎が出血に驚き、「外科の先生呼んで! 八田先生呼んで!」 と大声でスタッフに頼み、その後、患者さんが医事紛争処理委員会への処理を申し出て、この年の10月1日付けで栗原理事長が医事紛争顛末報告書で事案の報告をしている手術である。誰が立ち会い、どんな状況であったかは記憶に強く残るように思うのだが。また、「よく覚えていません」との表現は虚偽表現をした際の、責任回避(例えば犯人隠避罪を免れるため)手段として多用されるが、この点は取り敢えず筆者の疑問を呈するにとどめる)


❸正木京華看護師曰く:「私は、順心病院で外来の看護師をしていますが、南埜先生がいた頃には手術室担当の看護師でした。整形外科の手術室には大抵立ち会っていました。南埜先生が患者さんの鎖骨の骨折部位を接合する手術を行っている際、鎖骨に癒着していた組織を剥離している最中に、血管が傷つき、大量の出血があったのです。その際、木嶋先生が南埜先生に「慎重に剥離しないといけない」といった注意を普通の声でしていました。木嶋先生は、手術中に大きな声は出していませんでした。その後、誰かは忘れましたが、別の医師が手術室にやってきて、執刀医の南埜先生がその医師のサブに回って、木嶋先生は手術の関与をやめました。止血するにあたり、鎖骨の一部を切除したのですが、それを誰が行ったのかは覚えていません。出血を止めたのは、後から来た別の医師でした~」(2022年7月6日の担当官への陳述。小山看護師と違って、理事長の栗原英治君が手術室へやって来たとの表現は一切出ていないのは、正木さんの人柄なのであろうか。


この正木さんの陳述に、正五郎が母親に述べた事実を加えて補足すると、手術室へやって来たのは八田医師で出血を止めてくれたのも八田医師であった。理事長の栗原英治君は手術室には居るはずがないので、止血するにあたり、必要な措置として鎖骨の一部を切除してくれたのも八田医師。これが正五郎から聞いている事実であり、息子はウソを言ってないと確信している。


ところで、モンスターパワハラを仕掛けたとの評価のある男が、やけにソフトな人物として描写されているのを読むと、一瞬怒りを忘れ、本当か、と戸惑わされてしまうが、全体的文脈からは無理があるように感ずるのは、私の偏見であろうか。


いずれにしても執拗な罵りや嫌がらせ、それに指導と称する大量の書き込み等をパワハラ男が強要してきたのは、ミスがあってから後のことである。ただ、余り間を置かずに仕掛けて来たのは、手術から6日後に急性アルコール中毒で正五郎が駅構内で倒れ、吉田アーデント病院へ救急搬送されていることからも推測できることで、また、本人が堪らなくなって精神科を受診して被害を担当医に訴えていることからも、正木看護師が言う手術日当日にはパワハラがなかったが、ただそれから日を置かず執拗で許しがたいパワハラを仕掛けてきた、というのが私の理解である。


以上の点は本人が精神科医に語っている内容や信頼する先輩医師が病院内の出来事を【モンスターパワハラ】と呼んでいることから推測は困難ではないと思うのだが、読者の皆さんはどう思われるだろうか。信頼する先輩医師が正五郎の身を案じてパワハラ医の行為を抑えるよう栗原理事長に頼んでくれたのであろう、彼の正五郎へのメールにある如く「厳重に注意する」と栗原理事長が信頼する先輩医師に確約してくれているのである。しかし一向に止む気配のないパワハラに、正五郎が仕方なく退職を願い出たのに理事長に慰留され、リハビリテーション病院への配置転換を取ってくれた。この一連の文脈は、理事長が正五郎の味方をしている証明と思えるのである。リハビリテーション病院への移動を預かりか配置転換かの呼び名の点はさておき、その際、勤務時間は半減したのに給与は同一のままという厚遇であったのだ。以上によってパワハラから解放されると正五郎は思っていたのに、だがその後も執拗なパワハラは続き正五郎は苦しめられたのだった。具体的な事実関係はスタッフの陳述と絡め後にも述べて行くが、正五郎が言うようにパワハラ男は本当に粘着質で、食いついたら離れない性格であるのであろう。


栗原理事長の話に戻るが、私は以上の事案における栗原理事長の行為や、その他の行為についても不可解でならなかった。正五郎を守ってやろうという意識は感じられるのであるが、モンスターパワハラを仕掛けてくる男(及び事務長に対してもであるが)には、どこか遠慮というか強く出られない奇妙な心的負荷(ブレーキ)がかかっているように感じられて仕方がなかったのだ。


この点は保険会社へ提出した休業証明書に関しても言えることで、開示文書P57の正五郎の休業証明書には【PTSD(心的外傷後ストレス障害)悪化による心身症の増悪】、と栗原理事長の記名捺印が為されているのである。しかもこの文書の作成が、パワハラ男や事務長の知らないうちに作成されたことは、私が順心加古川病院の事務長に文書の存在を電話で伝えたときの、事務長である大傍の反応、「あ! ホンマや!」との驚愕の声が如実に示している。


これらの不可解ともいえる、ハッキリ言って矛盾だらけの言動は、理事長が立ち会ってもいない手術に立ち会ったと患者さんに告げ、もちろん止血などできるはずがないのに自分が当日止血をしたなどと告げたのであれば、確かにとんでもないウソで呆れてしまうが、それを知られているパワハラ男や事務長には気を遣わざるを得なかったのであろう。


読者の皆さんは水掛け論の類いにウンザリされるだろうが、執拗で不快極まりないパワハラがあったか否かに関しては、どちらかがウソを吐いているのである。そしてそのウソと社会的観点から不可分に結合しているのが、理事長栗原英治君が2021年1月7日の手術に立ち会い患者さんの止血をしたか否かなのである。立ち会ったと栗原君が言い、病院スタッフもそうだと認める者が大半で、残りの人たちは「わからない」と答えるか沈黙を通すのみで、手術室に栗原君は居なかったと陳述している関係者は皆無である。これらの主張とほぼ一対一に対応するのが、パワハラは無かったという主張である。


以上に対し、私や妻は正五郎から聞いている理不尽なパワハラがあったと確信していて(先程も述べたが、手術から6日後、追いつめられ、前後不覚に陥るほど酒を飲み駅構内で倒れ救急搬送され、それから1ケ月と3日後、精神科医に助けを求め、うつと診断されているのだ。また、この間の執拗なパワハラの内容を、かなり抑えた表現であるが、神戸大学日本拳法部顧問にメールで語っている。しかし病院関係者はほぼ全員、パワハラは全くなかったと言う)、息子をとことん苦しめその死を招いたパワハラ仕掛け人達を、私たち夫婦は到底許すことが出来ず、労災申請をし、訴訟の準備をしているのである。病院に有利な証拠や証人の大半というかほぼ全てを病院に握られていることから、私はプラットホームという表現が正しいか自信がないが、ネットでの発表の場を与えてくれるカクヨムを使って作品を書いて、情報を発信しているのである。


読者は思われるだろう。何故、著名理事長が作者を名誉棄損で訴えないのだろうかと。もし栗原君が手術に立ち会い止血したのであれば、筆者の南埜純一などは名誉毀損罪で告訴して、一瞬の内に叩き潰せるだろうにと。確かにそうであって、私などは大病院の理事長からみれば全く小さな存在なのだ。では名誉棄損で訴えないのは、筆者たちの勝ちか、というとそうではなく、大きな権力(財力や人材を含めて)を保持する者にとっては、騒ぎ立てる小者への対処法の一つに【無視】という事実上の有効な手段があるのだ。


耳原病院に対する訴訟では、勝利を確信していた病院の脇の甘さが当方に幸いし、辛うじて当方が勝てたが、今回の正五郎に対するパワハラ事件はこの【無視】の手法で当方が負ける可能性が高くなっている。そもそも私の作品などはカクヨム上でもほとんど読まれていないことを考えると、先が見えたような気がしてここ暫く弱気に沈んでいた。パワハラを主張し訴えたものの、結局敗訴した多くの人達と同じように、と。ところが同じ兵庫県内で起こっていたが、長らく無視され続けて来た知事のパワハラが、ここにきて急展開を見せ始めたのだ。当然、私にとって一番気になっていたのは、自殺されたと思われる局長の苦しみと御遺族の無念である。


弱気の虫に襲われて、本作を書き進む意欲がそがれていたが、クソ! こんな不条理は許して堪るか! 再審査庁から送られて来た資料集を取り出し、病院関係者の陳述を睨み、作品を書き継ぐ決意を新にした次第である。





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