第12話 軍隊成立
「……ってなわけだ」
マツダが話し終えたあと、辺りには一瞬の静寂が訪れた。そして、その後、喧騒に飲まれた。
「ふざけるな!」「今更戦ってなんの意味がある!?」「もう負けたも同然なんだぞ!!!」
マツダが「ほれ見ろ」とでも言うように肩をすくめてみせた。
♢♢♢
「戦う?冗談よせよ……今更戦ってもなんも無いだろ!?」
戦おう。私がそう告げたとき、マツダもまた反発した。怒りをどうにかして覚えようとしているのか、語気を強く発している。だが、その顔からはどうしようもない無気力が溢れていた。
「第一、勝てる可能性なんて1割程度しかねえだろ!?そのために戦うなんて、はっきり言って馬鹿だと思う」
「そう……なら、これを見てよ」
私は、恐らくキリエがボムの降ってくるのを見て書き溜めたであろう文字を見せた。
『ミトモ!マツダ!いきr』
マツダの、あっという短く小さな言葉が鼓膜を刺激した。
「私は、キリエの遺言を尊重したい。キリエの……生きろって言葉を護りたい……。戦いたい理由はこれじゃダメか?」
「…………隠れて逃げ切るってのはなしか?」
マツダが虚ろな目で語りかけた。
「残念ながら、天国軍もトドメ刺す位はしてくるだろう。建物の倒壊したこの地獄で、私たちが逃げ切れるとは思わない」
「戦うしかない、と……」
「ということで、どうかな?」
マツダは軽く舌打ちをして、
「しゃあなし、だな……」
♢♢♢
「ふざけるなー!」「もう解放させて!」「戦いたくない!!!!」
ようやっと、マツダとの約束を果たさなきゃいけなさそうだ。
「みなさん、すいません!少し話をさせてください!」
そう断りを入れた後、ひとつ咳払いをしてから前もって考えてきた文章を形にしていく。
「この中で、地獄の
さて、その亡くなられてしまった方々は、果たしてみなさんに死んで欲しいと願うでしょうか?、地獄にヘブンズ・ボムを落として欲しいと願ったでしょうか?
私にはある大切な友人がいました。その友人は、あの3月で命を散らす直前に、戦場に出ていた私たちに『生きろ』と残したのです……。
先程説いた、犠牲者がボムの投下を望んだかどうかということ……それも戦いたい理由としては大きいです。しかし、一番の理由、それは私の友人の遺言を遂行するためです。どうか、私に力を貸してください!!!」
じごくのマーチ ツチノコのお口 @tsutinokodayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。じごくのマーチの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます