指ガチャ

第1話

　ガチャの話です。と言ってもソーシャルゲームの話ではありません。

　ガチャポンというものはご存じでしょうか。硬貨を入れてレバーを回すとカプセルが出てきて、それを開けると中に玩具が入っているんです。子どものころから好きで、最近は買っていませんが、やはりあれは心が踊ります。

　さて、今回は子どものころに見た、奇妙なガチャの話をしたいと思います。そのガチャは人体パーツを販売していました。もっと詳しく言えば、人の指を売っていました。まごうことなき人の指でした。もちろんそれは偽物で玩具だったのでしょうが、子どもながら不気味に感じていたのを覚えています。

　偽物の指……だったのだと思います。まさか本物の指を使っていたなんてことはないでしょう。そうだったら事件です。ですが、僕はそれを不気味で気色悪いものに感じていましたから、そのガチャを回すことはありませんでした。

　今となっては、あのガチャの情報は見つかりません。僕の記憶だけが便りです。ただ、あの不気味なガチャはなんだったのだろう。誰を対象にした売り物だったのだろうと、不思議に思います。