第22話

 この領主にきた際に、クララからいくつか問題を抱えていることを告げられていた。


 領民の少なさ、貧しさ、盗賊、小国家だった頃の時代を取り戻すために革命を起こそうとする者。 

 

 僕は、リバー家の領地を荒らされるなんて何よりも許せない。


 リバー夫人が、愛したこの土地を、そしてリバー家の矜持を守ることが僕の誇りだ。


 だから革命家のことをクララから聞いていた頃から、誰がそんなことをするのか調べた。


 革命家ゴンザレス。


 ゴリラのような顔をした彼は女性が苦手と言いながら自分がモテないことを領地のせいにしていた。


 クララは革命家に同情するような言葉を言っていたが、僕にとっては特に驚きではなかった。


 男性とは利己的な生き物だ。


 国のためだと言っても、結局は自分の現状を憂いているだけだ。


 帝国の侵略によって滅ぼされた国を取り戻すことなく、王族が生きていても難しい。


 それでも、革命家の動きが気になった俺は、傭兵たちに調査を依頼することにした。その中で革命家とアンブラ教会の動向が怪しかった。


 クララも信仰している教会ではあるが、どうも僕は警戒が解けなかった。


 傭兵や、仲の良い商人たちに、アンブラ教会と革命家の監視をしてもらっている際に、教会から逃げ出した獣人の少女がいることが僕の耳に入ってきた。


 僕はすぐに彼女を救出して、グレタさんに預けた。


 クララはアンブラ教の信者なので、なるべく会わさないようにした。


 彼女を保護して、数日が経ち、傭兵たちからの報告が入った。


 彼らが調査を進めている、アンブラ教会が革命家たちと接触しているという噂を掴んだのだ。さらに、教会の司祭が密かに獣人を奴隷として扱い、教会の地下に隠しているという話も出てきた。


 この時点で僕は確信した。


 アンブラ教会の司祭が、この領地で何か悪事を働いているのは間違いない。そこで、僕は密かにその司祭の動向を探り始めることにした。


 ちょうどそのタイミングで、クララがアンブラ教会の司祭と面会したいと申し出てきた。彼女は司祭に領主館を訪れてもらい、信仰の話をしてもらうつもりだったようだ。


 僕はそれを逆手に取ることにした。クララには悪いが、これは絶好の機会だった。


 司祭が領主館にやってきたとき、僕は彼に対して表向きは敬意を払いながらも、内心では彼の言動を鋭く観察していた。


 司祭が地下で何かを隠していることを確かめたかったが、彼がどこか警戒している様子を見て、怒らせることにシフトを変更することにした。


 だから、わざとレナの姿を司祭に見せた。


 案の定、司祭は僕の手のひらの上で踊ってくれた。


 怒りに任せて司祭は、教会に戻って地下へと入っていった。

 身を潜めて教会に潜んでいた傭兵に気づくことなく。


 レナだけじゃない。獣人の少女がこの領地に一人でいるわけがない。


 アンブラ教会の司祭は、革命家たちと共謀するふりをして信者を増やして、自分の私腹を肥やしていたんだ。


 クララがアンブラ教会を訪れる際、僕は彼女を止めることなく送り出した。


 そして、司祭が領主館に来ることを利用して、彼の注意を引きつけ、その隙に地下の状況を確かめることを思いついた。


 僕は傭兵たちに待機するよう指示し、すぐに行動を開始した。


 アンブラ司祭が領主館を訪れた日、僕は彼と表向きの会話をしながら、内心ではどうやって彼の悪事を暴露するかを考えていた。


 彼の注意を引きつけるために、わざと質問をぶつけ、彼を警戒させないように立ち回った。


 傭兵たちが、獣人たちが囚われているその場所を見つけた。


 そこに閉じ込められていたクララと獣人の大人たちを見つけた。


 彼らの苦しむ姿を見て、僕は怒りが込み上げてきた。


 だけど、そんなことを表には出さない。


 飄々と弱そうな男に全てを奪われればいい。

 自分のプライドを情けない男に奪われればいい。


「司祭様! あなたの悪事を全てを暴きます!」


 クララの啖呵に僕らは拍手を送る。


 司祭は傭兵たちに怯え、反論しようとした。


 僕は傭兵や商人たちを呼び寄せ、その場で彼の悪事を証明した。


 結果、アンブラ司祭は領地から追放され、革命家たちの計画も潰れた。

 獣人たちも解放され、クララも無事に戻ってきた。


 最後に、これらの情報を提供してくれた革命家ゴンザレス君は、アフロディーテ教の信者として、熱心にエリザベートの話を聞いている。


 さて、これで全ての膿は吐き出すことができたかな。


 あ〜あ、疲れた。


 これからはみんなに任せて、領地でのんびり過ごせるよね。


「ジャック様! こちらですよ!」

「ふふ、ジャック様、夜は私が癒してあげますね」

「お兄ちゃん。お母さんを助けてくれてありがとう」


 クララ、エリザベート、ルナ、彼女たちが僕の手を引いていく。


 まぁ僕はリバー夫人の名誉を守れたかな?


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 ちょっと見えない仕事が増えてしまったので、この話はここまでにさせていただきます!


 最後まで読んでいただきありがとうございます!


 どうぞ次回作もよろしくお願いします!

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無職で楽な人生を求める無責任な運だけ領主誕生 イコ @fhail

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