13. 『ふつうの軽音部』3巻

 「次にくるマンガ大賞2024」Webマンガ部門1位受賞作です。


★3巻発売記念PV

https://www.youtube.com/watch?v=w3WNcd3dzH4


 必要充分を見せつつ、含みも持たせた描写が絶妙な快作。ページあたりの人間関係や感情の動きがとても濃密で、感想が書ききれません……!


 前巻の感想はこちらです(下記リンク)。

https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16818093080527137581



◆『ふつうの軽音部』(3)クワハリ/出内テツオ


 神とかブッダはともかく、はとっちの弾き語りを早期(2巻16話)から把握していたりんちゃん怖いよ。その後もあやちゃん獲得に向けて策を張り巡らせたり、神にゆだねてみたりと、相変わらず発想が独特です。



 モブの会話、みずくんは「たかくんと違って誠実そう」で笑う。個人的に鷹見は嫌いになれない(2巻で心の内を見ているので)。監視=ヨンス(厘用語)。

 彩目ちゃんをディスられて鷹見にマジギレのはとっち。一見空回りに思えた行動は巡り巡って……。


 一方の厘&ももちゃんは彩目ちゃん勧誘に乗り出し。何言ってんのこいつ→厘、は確かにそう。大道おおみちさんや水尾くんの自然な介入も、全ては神=はとっちの普段の行いあってこそ。彩目ちゃん、着々と運命に導かれつつあります。



 回想で明確になる彩→桃のしっとり感情。百合濃度の高まりを感じます(当社調べ)。どれだけ努力を続けても、いじめられうとまれた過去ゆえの卑屈さは根深く。


 そして公園へ。鷹見ディスで打ち解ける鳩彩の距離感良し。

 弾き語りで初めてはとっちの「声」を聴く彩目ちゃん。神に脳を焼かれた者がまた一人。ライヴ後のハプニングで見せた心からの笑顔に胸が温かくなります。


 そして翌日。満を持してギタリスト藤井彩目加入。第25話「バンドを結成する」の神演出。四人を見守る大道さんの表情が実にいい……!



 陰口に堂々物申す桃ちゃん強い。大食い=基礎代謝高い信頼できるドラマー。ファミレス会議でリーダーにも決定。選曲やバンド名候補(+やり取り)で各々の個性が浮き彫りになるのにはワクワクします。


 厘&彩目の間で取り交わされる陰謀……作品名と話タイトルを二度見する。バンドの暗黒面ダークサイド、プランY……これ何の漫画だっけ……? 「文化祭楽しみ」な厘ちゃんのコマだけ切り取ると、真っ当な青春ドラマに見えるのが厄介!



 はとっち弾き語りに導かれし者がまた一人。パッと見クールガイな水尾くん、実は熱い男だった! 推せる!


 とお→桃の恋模様。表面上は辛辣しんらつを装いつつ、内面は絶妙にキモいのが笑えます。


 バンド「はーとぶれいく」の初演奏は散々な出来でしたが、はとっちの笑顔は百点満点。四人で合わせられた楽しさや嬉しさが伝わってきます。



 文化祭ライブの出演バンド、たまき先輩のバンド名攻めてるな……。そんな先輩のスマホに届いた「夏帆」の名前。ひかり先生とのつながりはあるのでしょうか。いずれにしても百合の予感。


 はとっちは離婚した父親と再会。振り返る過去にしんみり。打ち解けた会話にほっこり。しれっと矢賀やがちゃんにアップデートほり(1巻番外編&2巻プロフ参照)の独演会連れてかれてるの草。父から受け継がれしエフェクターは今後出番が。



 低血圧彩目ちゃんかわいい。クラス劇に強制出演かわいそう。てか劇の設定がカオス。スタジオ練イキり彩目ちゃんかわいい。

 そして軽音部にあの男が戻って来る……! 次巻!



 余談ですが、1巻から読み返すと新たな発見多しです。「こんな早い段階でこのキャラが登場!?」とか「すでに伏線張られていた!?」とか。


 単行本オンリーの「じこしょうかい♪」(キャラのプロフ)でも当時「本当?」と感じた項目が、今になって「本当!」ってなったりもします。答え合わせ感が気持ちいいです。


 そんな今巻のプロフも各キャラの解像度が高いです。

 苦労人・ぐちくんは好きな漫画がいっぱい。『ケンガン』『僕ヤバ』辺りはまだ分かりますが、『女の園の星』とはセンスあります!


 おまけ漫画は遠野くん。ツンツンしてるけど意外と人望ある? 少なくとも読者からは愛されキャラですよね。鷹×遠ルートの可能性は心に秘めておきます……。

 表紙裏は厘彩カラオケの一幕。選曲の意外性。

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