第2話 絶望的な現状。

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目立たないように魔法を使いながら、早15年が経った。とりあえずこの生活に慣れながら情報収集をした結果、思ったよりも悲惨だったかもしれない。


ちなみに名前は面倒なのでハルとレイと名付けさせた(魔法で)。


まず、人より魔族の方が個体数が多いということだ。数で負けている現状、攻めようにも攻められないのだそう。そして人より魔族の方が強い。個体でも負けてるのだ、そりゃ勝てない。さらにこの都市以外はもう魔族の領地らしく、ここもそう持たないそうだ。そのせいで資源も殆どない。ここまで絶望的な世界もまぁ珍しい。その位じゃなきゃ、自ら来ないけど。


そろそろ隠し切るのも面倒になってきたし、旅立っても良いかもしれない。どうせここに居たってジリ貧だ。


「お母さん、お父さん。ここに居たって何も生活は変わらない、だから足掻いてくる。レイと一緒に決めた。」


「そう。私達は魔法も使える。使える人が行かなくてどうするの?」


そうして、何とか了承を得た。結構ゴネられたがゴリ押ししては旅に出る事が出来た。


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「こんなもんでいいかな?」


「いいんじゃない?どうせ必要ない。」


まずはある程度の装備を整える。正直何でも勝てるとは思うけど怪しまれるから、今買えるレベルの初期装備を買う。少しばかりの食料と最低限の防具、そこら辺に売ってた剣。そして地図や鞄は家から。ギルドも何も機能していないので行く必要も無い。早速都市の外に出てみることにした。


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外に出てみれば、それは初心者が勝てる相手であるような魔物では無かった。今目の前に居たのはレッサーデーモン。それなりに冒険していないと勝てない相手だっただろう。……思いの外出力をミスって辺り一帯をワンパンしてしまったが。


「うん、もう少し抑えよう。やりすぎた。」


「そうだね、兄ぃ。これの10分の1もあればこの辺は十分そうだよ?」


僕より計算に優れているレイが言うのだから、そうなのだろう。大人しくそれに従いつつ辺り一帯の群れだったレッサーデーモンを消し去ってしまった。相手に否が応でもバレただろう。


「……この位倒したら都市も多少は楽になるんじゃない?」


「ついでに死体消しとくね。」


そう言って辺り一帯悪魔まみれだった景色は荒野に変わる。結局何も生えてないから変わらないのだが。ここを離れてからこの辺を森にでも変えておこうと決めていたところ、少し強めの気配を感じた。


「あら、貴方達ね?可愛いレッサーデーモンを皆殺しにしてくれたのは。」


多分アークデーモンだろう女性がどこからとも無く現れる。魔力量を偽っているので相手は勝てると思って来たのかもしれない。


「若いうちに芽を摘んでおこうってとこ?」


「ご名答。賢いのね、貴女。」


レイが余裕そうな口振りでそう答えた。実際余裕なのだが相手からすれば強がりに見えたかもしれない。


「やり合うのは構わないよ。負けると思ってないし。」


「その蛮勇は何処まで続くかしら?」


この後、どうなるかは予想付くのだが、付き合ってやることにした。


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