神様だけど世界征服します。

白夜

第1話 救えない世界。

「ねぇ、ハル。この世界どーしようもないんだけど。」


そんな言葉が空間に響く。ここは神界、自分達は正真正銘神である。そして仕事として僕であるハルと妹のレイは、色々な世界を管理していた。


「とりあえず状況見せて、それから考える。」


レイにそう言葉を掛けると、状況を確認する。この世界は魔法と冒険が発達した世界だったようだが、魔族に世界を滅ぼされ掛けていた。どうやら人に倒せないレベルの軍隊になってしまったようで。


「あーあ。歯が立たないレベルまで育っちゃったのね。とは言っても今回の報告書は出しちゃったしなぁ。」


神にだって上司は居る。上司に今回の報告書はもう渡してしまったので、この世界を消すにも消せない。ついでに言うと、この後休暇があるので出来ることなら何処かに遊びに行こうとでも思っていたのだ。


____遊びに行く?そうだ、どうせ救えないのならアンバランスになろうが構わないか。思い立ったが吉日、レイに相談しよう。


「レイ、この後どうせ休暇だよね?ならさ、この世界を世界征服しに行かない?どうせ救えないなら遊んだって怒られないでしょ。」


「はぁ?!……いや、でも間違ってないのか。兄ぃはたまに変なこと言い出すんだから。でも、暇だし乗った。」


そんなこんなで決定したので具体的にどうするか話し合う。このまま降臨したら動き辛いし、異世界から転生したフリでもするか。転移だと色々面倒に巻き込まれそうだし、そうしよう。


なんて気楽に考えてその世界へ休暇に出掛けるのであった。


_____________________


「良かった……無事に、産まれて。もう希望も無いかと思ったわ……!」


僕らは双子として産まれることにした。勿論、この時点で知能はあるがこのままだと疑われてしまう。暫くは赤子のフリをすることにした。


「「おぎゃぁぁ!」」


息を吸った後に思いっきり声を上げて泣いた。元気な方がいいと言われているし。どうやらレイも同じ考えだったようだ。


「まぁ、元気な子達で…………。でも、お母さんもう持たないわね。貴方達に余力を使いすぎてしまったみたい。……顔だけでも見れて、良かったわ。」


母親は荒廃した世界で頑張った結果、もう命が危険になっている。どうにかしてやれないこともないがどうしようか。


『どうする?生かす?』


なんて、レイからテレパシーが飛んでくる。どうせだし、産んでくれたことに感謝するとしよう。


『生かそう。産んでくれたんだしね。』


なんて返せば、僕は念じた。母親の身体に栄養を行き渡らせるように。本来ならこの世界で使っていいような魔法では無い。そんな魔法はこの世界に存在しないのだから。


「あら…………!?これはどういうことなの!?あ、貴方!!私まだ生きれるわ!!」


「本当か!?それはまたどうして。もう食料も尽きかけていたというのに。」


「よく分からないけど、いきなり身体に力が漲ったのよ!!」


「神は見放さなかったということか!祈らなければ!!」


成功するのは当たり前なのだが、何となく少しほっとした。母親は僕らの父親らしき人に抱き着いてはそんな事を言う。神は見放さなかったか。いや、確かに神なのだが目の前で言われるとなんか嬉しいな。しばらくは隠れて使っていこう。崇められても困るしね。


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