私が作者様と出会ったのは、第9回のカクヨムコン。
フォロワー様のレビューに燦然と輝いていた『ケモナーの方々は絶対見るべき』の文字。
そう、私はケモナー。
耳と尻尾が生えた半獣人はもちろん、二足歩行の完全獣人も大好物。何なら四足歩行タイプでもばっちこい。人語を理解してくれて意思の疎通が出来るのなら、しゃべれなくたって構わない。もちろんしゃべれるならそれに越したことはないけど。もふもふふかふかの哺乳類系にとどまらず、爬虫類系もどんとこい。もういっそ無機物だってイケる口(ケモナーとは……?)。
そんな私のところに舞い降りて下さった女神。それが香久乃このみ様でございます。
さんざん『イケ獣人』で私の心臓をバックンバックンさせてくださった香久乃さんが、今度は竜の話を出しますと来たもんだ。おいおい、私がドラゴン系ももちろん大好物と知ってのパスか?受けるっきゃねぇだろ!真正面からよぉ!来いやぁ!
さて、本作はですね、まぁあらすじを見ていただくとわかるんですけど、人間の姿になれるという守護竜様がお嫁さんをもらう、っていう、おもいっきりざっくり書くとそんなお話なんですけども。これまでは人間の花嫁に合わせてイケメンにその姿を変えて来ていた守護竜様なんですが、今回新たに守護竜となられたグリフィン様は、それを拒否!なんで人間に合わせなきゃならんのだ、と。
というわけで、漆黒の鱗に大きな翼、蒼銀の角を持つ巨大な竜のままで結婚するぞ、と。
よろしいんですか!
むしろよろしいんですか!
我々の世界ではご褒美ですけどっ!?
私なんかはもう涎をだらだら垂らして、イマジナリー尻尾をぶるんぶるん振り回して、それをプロペラ代わりにして羽ばたくくらいの気持ちでウェルカム態勢なんですけども?!むしろそれで!それでお願いします!そうでしょう、オーディエンス!?
もちろん一読者である私が尻尾をぶるんぶるんさせていても仕方ありません。むしろ邪魔なだけ。問題はヒロインちゃんの反応ですが、これでドン引きするようなヒロインちゃんではないわけです。
本来のお嫁さんであるR様(もう腹立つからイニシャルにしておきますね)は「ハァ?竜のままとか聞いてねぇけど?!」みたいな態度ですけど、正ヒロインのエレナちゃんはそんなことないから。そういうところが正ヒロインたるアレだから。人としての器がちげぇから。百均のマグカップとバカラのグラスくらい違うから。天と地ほどの差があるから。
ただここでね、ケモナー的にはちょっと心配になる部分が出て来るわけです。
「そうはいっても、結局はイケメンエンドなんでしょう?開始10分でイケメンチェンジしてそのままイケイケするんでしょう……?」
これですよね。
いや、イケメンが悪いって言ってるんじゃないの。
イケメンはイケメンの世界で輝いてほしいんですよ。ただここは爆イケドラゴン様の園なのでね……?
これですよね。
これが心配ですよね?
これが気になって一歩踏み出せません。
そんな声が聞こえてくるようです。
大丈夫。
大丈夫です。
この私が言ってるんですから大丈夫です。
この私ってどの私だよ、って思われたかもしれませんけど、『美女と野獣』で、野獣の呪いが解けてイケメンになった途端に「お前誰だよ」ってがっかりしたレベルの『この私』です。その私が大丈夫って言ってるんですから。そんで香久乃さんもそっちの派閥の人ですから。これは期待出来るぞと。
ただ一つ残念なのは、このお話、短いんです。もっと読みたい。
でも逆に考えるとですね、短期間で効率的に爆イケドラゴンを摂取出来るってことですから。やはり現代人は忙しいですから。なかなかゆっくり浸っていられなかったりしますから。そう考えるともう助かりますよね。逆に助かる。サッと摂取出来ちゃう。
読みやすい文体で、しっかりケモナーのハートも満足させてくれる最高の短編です!ぜひ!