何気ない日常の中で、ふと、亡くなった親しい人の思い出がよぎること、ありますよね。
あの人はこれが好きだった、とか、こんなことを言っていた、とか。
お盆は特にそういう時期でしょうか。
改まった特別な供養をしなくても、そうやってふと、静かに穏やかに思い出してもらえることが、実は一番の供養かもしれないです。
亡くなった人の思い出がよぎる。それから、自分や周りの人のこれからを考える。
いずれは来るそのときを、この作品と一緒にちょっと想ってみませんか。
心が凪いで、人生に落ち着きを見つけられるかもしれませんよ。
「うんと若い頃、私は自分が世界の全ての問題を解決できるものだと信じていた」
これは当然、「だけど今は……」と続くわけですが、その続きの感覚は、成美さんに似た境遇で近い年齢にならなければ実感しづらいかもしれません。
若いときには自分の世界を広げることに夢中で、身の丈なんて考えず、先へ先へと進んでいっていたような気がします。それが、身近な人の退職、病、死を経験するごとに、等身大の「自分」に目を向けるようになります。
そうなって、ようやく、手に入れたあと足元に転がしっぱなしだった「お楽しみ」を開封するようになる、そんな気がしています。結構、良いものが落ちてるものです。
年を取ると、若い間は必要なかった後始末を常に考えながら行動することになります。気づまりなこともありますが、これまでどおり挑戦もできるわけで、結構奥深くって忙しそうだぞ、年を取るのって! って感じさせられます。なにより、成美さんが日常をしっかり生きているのを見て、救われた気分になりました。