第16話 ゲームスタート
ゾロゾロと嫌そうな顔をしながら、1年生が体育館に集まる。
「俺、生徒会会長なんてやりたくないんだが?」
「これってわざと負けたらどうなるんだろ?」
「そりゃなんかペナルティがあるだろ。じゃなきゃ誰が好き好んで生徒会長なんかやるんだよ」
そりゃそうだと思った。
いや、でも...どうだろう。
どの学校にだって生徒会はあり、その99%は選挙によるもの...つまり最低一人は立候補をしているということだ。
更にうちの学校は生徒会の権限が強く、生徒会長権限とかいう最高クラスにチートな制度まである。
そうなると、やりたいという人間がいること自体はあり得ないことではないのでは?
それも...もし悪意のある人間が生徒会長になりでもしたら...。
いや、だからこその今日のあの煽りということか?
俺らをいくら焚き付けてもやる気が無ければそれで終わり...。
一体何をしてくるつもりだ。
「何やら深く考えているようね」
「...うん。まぁ、色々と...」
「あまり余計なことは考えないことね。それこそあの人の術中ってやつだから」
そんな会話をしていると、右手右足、左手左足を合わせながら、ふざけた歩き方をしながら壇上の上を歩く生徒会長が現れる。
「みなさん、やっはろ〜!生徒会長ちゃんだぞ!ってことで、話はもうわかっていると思うからゲームのルールの説明しちゃいまーす!一回戦のゲームの名前は【報告と密告ゲーム】でーす!」
そうして、呑気にゲームの話を始める。
【報告と密告ゲーム】
1.1年生全員にSNSで4桁の数字が送られる。それが自分の番号となる。
2.このゲームでできることは【報告】、もしくは【密告】である。
【報告】も【密告】もやることは同じあり、共に誰かの名前と番号を生徒会役員に伝えることを指す。
(※生徒会メンバーは壇上にいて、報告と密告は共にメガホンを使って声で行う)
3.このゲームの勝利条件は自分以外の5名に自分の番号を【報告】してもらう、もしくは誰かの番号を【密告】すること。
敗北条件は時間内に5名から【報告】されなかった場合、誰かに【密告】された場合、自分が【密告】した相手が他の人にも【密告】していた場合。
(※【密告】が成功し、誰かに【密告】された場合は引き分けとなり、その場合も同じく2回戦進出となる)
4.また、【報告】は一人10回まで、【密告】は一人2回まで。
誤申告のペナルティはないが、正誤についてはその場で教えてもらえる。
5.勝者はこのゲームから脱落となり、敗北した方は2回戦に進む。
6.【報告】と【密告】ともにゲーム中には結果は開示されず、あくまでゲーム勝利後に発表されるものとする。
「ルールはこんな感じ!みんな理解できたかなー?」
意外とちゃんと考えられているな。
もし、複数の人が一人を密告することが成立するなら、誰か一人の番号が漏れた時点でゲーム終了になるがそういうのはなしらしい。
「んだよ、このルール。仲の良い友達5人いるやつは簡単に抜けられるじゃん」と、誰かが呟く。
あぁ、それはその通りだ。
信頼し合える5人がいるならこんなの楽々と抜けられる。
しかし、表面上の薄い友情関係で成り立っている5人や、もしくはいつもは4人以下でつるんでいる人にとっては信用できない一人を入れなきゃいけないということだ。
「ルールは理解できたかな!それじゃあ、みんなー!はーじめーるよー!」
その瞬間、全員が携帯を見る。
俺の番号は...1152。
規則性はないように見える。
「...怜。どうする?」
「あなたはどうしたいの?もしかして、生徒会長の座狙ってたりする?」
「いや、やりたくないよ。ふつーに。けど、脱落した後じゃその選択も取れないだろ。まずはどんな人間が勝ち上がるかを見たいから」と、俺は怜に携帯の画面を見せる。
「俺の番号はこれだ。俺を密告してくれ」
「...ありがとう。これで私はゲームから抜けられるわ」
「...え?」
「ぐっぱい、陸」
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彼女の親友と俺が浮気しているデマを流され振られてしまった俺は、元彼女の元親友であり噂の浮気相手と付き合うことになりました。 田中又雄 @tanakamatao01
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