廃墟ホテルの裏側で繰り返される終わりなき恐怖。最後まで読み切れるのか。

この作品は、怖ろしい都市伝説に刻まれるような、廃墟となったホテルを舞台にした夏の冒険物語です。しかし、それは高校生たちによる肝試しの域を超えた、実に恐ろしいホラー話に仕上がっています。一瞬、続けて読もうか途中でやめようか迷ったほどです。このレビューを書きながらも、恐ろしさがこみ上げてきて、止めようかと迷っています。


主人公の若者が恐怖に襲われるシーンはリアルに細かく描かれており、恐怖を超越し思わず身震いするほどです。何度も描かれる「斜陽が、金色に輝いている」という言葉が効果的で、胸が痛くなります。

特に、現実と幻想の境界が曖昧になる描写や、恐怖と絶望に苛まれる彼の心情が恐怖を煽ります。読み進むにつれ、主人公と共に廃墟ホテルの不気味な雰囲気を体感し、深まる謎と恐怖におののきます。エンディングは目をそむけたくなる、どこまでも続く真っ暗な闇の世界です。極めて恐ろしい物語が好きな読者にとって、この上ない作品です。

怖かったけれど、ありがとうございました。