夏の予定

六月の最終週の平日、今日は長谷川が俺の部屋に来て掃除を手伝ってくれていた。


長谷川は机をずらすと部屋の角を指差して口を開いた。


「先輩、こういう角こそ埃が溜まりやすいので気を付けないと駄目ですよ」


「まるで姑みたいだな」


そう言うと長谷川の視線が厳しくなる。


「誰が口悪いおばさんですか!?」


「そうは言ってないだろ!?」


長谷川の言葉に俺は慌てて返すが、長谷川は首を横に振っている。


「意味合い的には同じ事です」


そういう意味では言っていない、と伝えてもさらに長谷川を不機嫌にさせるだけだ。

そう思った俺は素直に謝る事にした。


「長谷川、悪かった。これからは角も気を付けて掃除するよ」


「わかれば良いんです。それでは、私はゴミを纏めておきますね」



掃除を終えた後は、長谷川が料理を作ってくれてそれを食べた俺と長谷川は話をしながら休憩をしていた。


「先輩、そろそろ夏ですね」


俺は窓の外を見て呟いた。


「今、外は雨が降っていて梅雨だけどな」


俺の言葉に長谷川は頬を膨らませて、ムスッとする。


「私は、そろそろって言ったんです。話を合わせてくれても良いじゃないですか」


「悪い、悪い。少しからかっただけだって」


「まったく、もう」


「それで、夏がどうしたんだ?」


「先輩、夏なので色んな所に連れて行って下さい!」


長谷川のそのお願いに俺は少し黙った後に口を開いた。


「……何故、夏が理由になるんだ?」


その俺の疑問に何故か長谷川が困った表情を浮かべる。


「……そう言われると特に理由はないですね。大学生になって初めての夏なので、色々連れて行って欲しいなぁ、と思って」


「そ、そうか」


「海とか花火とか行きたい所が沢山あるんです!」


真面目に聞いてしまった事に恥ずかしくなっていると、長谷川が雰囲気を変えるように明るく言う。


俺はそれに乗っかる形で口を開いた。


「いつも助けてもらっているから、言ってくれれば、何処でも行くぞ?」


俺の言葉に長谷川は嬉しそうに微笑んだ。


「助けられているのは私もですけど、そう言ってもらえると嬉しいです」


「7月は花火大会が多いもんな。後で予定を決めるか」


俺の言葉に笑顔で頷く。


「はい、そうしましょう! 後、海は中島先輩も一緒に行きたいですね」


「……一応、聞いておくけど、海に入るって事だよな?」


海に行くという事は長谷川と中島が水着になるという事だ。

そう思うと緊張を感じた。


「そうですね。……もしかて、私と中島先輩の水着を想像しましたか?」


「いや、まあ、その」


長谷川のその言葉に俺は慌ててしまった。

長谷川はそんな俺の様子を見て、クスッと笑うと口を開いた。


「恥ずかしいですけど、先輩だったら見せても良いと思っているので、そんなに慌てないで下さい」


そう言って微笑んだ長谷川に俺は見惚れて何も言えなかった。

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大学の可愛い後輩が世話を焼きに僕の家に来てくれる 宮田弘直 @JAKB

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