第2話 平侍
柴山小三郎は
定府とは、江戸に在住して藩主に仕えることをいう。小三郎の父も定府を命じられ、小三郎は江戸で生まれ育った。
小三郎の家は百石の
小三郎は部屋住みだが、長男なのでよほどのことがない限り父の跡目を継ぐ。
彼は目鼻立ちのはっきりした顔つきで、遠目からも目立つ容貌をしていた。今年で二十二歳になり、小さめの顔に整った眉、凜とした瞳をしていた。
笑うと白い肌にはうっすらと赤みがさし、見ている者をやさしい気持ちにさせる。背はやや小柄であるが、手足が長く均整のとれた美しい体つきをしていた。
外見のせいか女には人気があったが、本人がおっとりしているので、秋波を送られても気が付かない。その上、あの女、眠そうだが大丈夫かな、などととぼけたことを云うので、
その小三郎に縁談の話が来たなどと聞いたら、彼らはなんと云うだろう。
小三郎は一番の友だちである
英之助も家督は継いでいないが、小姓組で藩主の近辺の世話していた。
小三郎と英之助の出会いは、
小三郎が学問所に入ったばかりの頃、少女のような容姿のため、朋輩にいじめられていた時、二つ年上の英之助が助けてくれた。
それがきっかけで知り合い、今でも何かあれば英之助を頼ってしまう。
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