十五 青い背景
ルルが真上から俺を見ている。
「市立大の入試は三月三日。国立が九日だったね」
俺の期末試験は二十六日、明日からだ。準備はしてある。今さらあわてない・・・。
「うん。市立大は共通試験だけで通るから・・・・」
そうか・・・。それなら安心だね・・・。身体が痛い・・・。
なんだか、眠くなってきた・・・。ああ・・・、身体が痛い・・・。
「アッキ!アキラ!明・・・・」
なんだ?ルルの後ろが青いぞ・・・。ルルは俺に手を触れない。なぜだろう・・・。
「救急車、呼んだよ・・・。このまま、じっとしててね。動いちゃダメだよ」
ルルはじっと俺を見ている。ルルの背景が青い。
「俺・・・、何があったんだ・・・」
「あの車が突っ込んできたの。アッキとあたしが撥ねられた・・・」
ルルが横断歩道で停止している車を目で示した。ルルと俺は車から数メートル離れた所にいる。
「アッキがあたしを抱きしめたまま撥ねられて、ボンネットの上を車の屋根まで転げて、それから車の前方へ転がり落ちた。
そのあいだ、あたしが頭を怪我しないように、アッキがしっかり手と腕であたしを守ってた。
しっかり抱きしめられてたから、どこも怪我してないよ・・・」
ルルはじっと俺を見ている。ルルの背景が青い。なぜだ・・・。
その青い背景に、何人もの顔が現れた。何だこいつら・・・。
「そうか。よかった・・・・」
「呼吸できるね?足とか腕の感覚はある?寒いけど、がまんしててね」
「感覚はあるよ。呼吸もできる」
激痛は右脚と腰だ。
なんだか眠い・・・。身体は痛いし・・・眠い・・・。
俺はここで何をしてるんだろう・・・。
「アアッ、だめ!目をとじたら、だめ!」
「わかった・・・。目をあけてる・・・」
そうか、眠ったらいけないんだ・・・。なぜだ・・・。やけに眠い・・・。
「アッキ!寝ないで!アキラ!アキ・・・・・・・」
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