十 夢のなかへ

「おやすみ・・・」

 深夜十二時すぎ、布団に入った。ルルと俺はたがいに好きだったのはまちがいない。それは今もつづいているらしい。いや、今もつづいている。俺とルルがいっしょになろうと決めた、決定的な理由があった気がするが、思いだせない・・・。


「アッキ。もうねた?」

「なに?」

「なんでもない・・・」

「どうした?チュウしてほしいか?」

「してほしいけど眠いからやめとくね。

 それより、今はアッキがこうしてそばにいるから、安心して眠れる。

 寂しかったんだぞ・・・」

「なんで?」

「学校でずっといっしょにいたけど、アッキが中一の時、小学校にアッキはいなかった。

 あたしが中二のとき、『アッキが高一になったら、いっしょにいる時が減って寂しくなる』って話したら、電話のこともあって、アッキが、『将来いっしょになろう』って言って親たちに話した。

 中三の時、アッキに勉強教えてもらって、いっしょにいるときが増えて、今はこうしていっしょにいれる・・・」


「電話のことってなんだ?思いだせないんだよ・・・」

「あたしが寂しかったから、毎晩、携帯の無料電話で話してた。

 中二のとき、アッキに電話した。そしたら、クククッ・・・」

 ルルが笑ってる。

「何があった?」

「電話して安心したらとっても眠くなって、眠る前に『トイレへ行ってくる。待ってて』と言ってトイレ行ったの。帰ってきたら、あんまり眠いんでそのまま眠っちゃった。

 そしたら、電話に出ないあたしを心配して、アッキがママに電話して、あたしとアッキが毎晩電話してたのをママが知ったの。

 でも、親たちがなにか言いだす前に、アッキがあたしたちの事を『将来いっしょになる』って親たちに話して、納得させたの・・・」

 そこまで話したルルから寝息が聞えた。起きあがってルルの寝顔を見たら、ルルは笑っていた。

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