流れる騎士
釣ール
今日も今日とて何も使わない
港区女子が現れてイメージがすっかり変わりつつある東京。
彼女らは悪くない。
あの人たちの戦術にぴったりな場所がたまたまこの港区になってしまっただけだ。
大学入学をあきらめ、
普段やっている仕事とは別で副業とも違うものがあった。
「うがっ」
「な、なんでこんなマネを! 」
秘密を守れば
おかげで
「俺が水使いであることを公言されては困るとなんども言ったはずだ。まあ俺が水のそばで竜を作ったところで誰も信じやしないからギリギリ拡散されなかったのはいいが」
脳を今から洗う。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉ」
そんなグロい方法ではないんだがな。
まあいいか。
怖いよなあ。やられる方は。
誰かの幸せの裏ってのはいつも他の誰かが守っているもの。
別にそれで幸せな人間を恨んでいるわけじゃない。
おかげ
移住前に住んでいる家のプールや水溜まりで
港区の海で何も考えず浮かんでいたいがサメにあったときにどこかかじられないよう
どこかにいないかな。
どデカいことをかましてやるぜ!って言ってそうな05年生まれやその前後の仲間が。
もう現実ばかりみて港区の海を楽しめないのもくたびれたアラサーを見ているみたいで嫌だから。
馬鹿にしてるわけじゃない。
ああはなりたくないだけ。
葛藤が続く中、手のひらで水をあつめ玉をつくる。
移住先でも能力者を守る仕事はまかされるかもしれないがはやく見つけたい。
ふさわしい死に場所を。
流れる騎士 釣ール @pixixy1O
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