プロローグNo.2④ 『愛しい人』
これでプロローグ終わりです。(-ω-;)
2024/9/13:プロローグの終わりがしっくりこなかったので加筆しました。
------------------------------ここから----------------------------------------------
-------------------------------------------梨沙View------------------------------------------
改札口周辺の様子を確認し終えた涼がこちらに戻ろうと振り返った瞬間、それまで駅構内の壁しか見えていなかった場所が突然歪んでそこから変な格好をした人が急に現れた。
びっくりしたあたしは直ぐに異変を伝えようと涼に向かって叫んだ。
「涼ちゃん!!後ろ!!変な格好の人が!!」
それを聞いた涼ちゃんは直ぐに後ろを振り向き何かその人に話しかけているが、変な格好の人は何も返すことなく涼ちゃんの方に歩いてくる。
尋常じゃない雰囲気を感じわたしも涼ちゃんのそばに行こうとするけど手で静止される。
よたよたと歩いてくる変な人は涼ちゃんのすぐ前まで来ると突然倒れこむように膝をついた。
後ろから見ていても分かるくらい涼ちゃんは混乱しているようだった。なにやら変な人が良く分からない言葉を発し涼ちゃんに向かって両手を差し出しさらに何か涼ちゃんに話しかけている。混乱中の涼ちゃんは咄嗟にその手を掴んだようだ。その二人の姿を見てどうしようもなく不安になったあたしは二人の元に近づいてゆく。
「あなた何?涼に何か話したいの?」
さっきまでは遠目でしかわからなかった変な人の顔を見て私は息をのんだ。人間の顔だけど額に目がもう一つ存在し話しかけた私の方へと視線を向けた。
あまりにも非日常すぎる光景で私はなにも声を発する事が出来なくなった。
さっきまで膝を折って見上げるように話していた変な人は勢いよく立ち上がると涼の手を掴んだままハイテンションで良く分からない言葉で私たちをまくしたてる。次の瞬間にあたしたち3人の足元が白く光りだし直ぐに目も開ける事が出来ないくらい眩しい光に包み込まれた。
「涼ちゃん!!なにこれ!!何が始まるの?」
眩しいのが苦手なわたしは目を閉じたまま涼ちゃんが居た方向に両手を差し伸べて姿を探すとすぐに涼ちゃんの手が私の左手を掴んでくれる。
「俺も何が何だかわからんがなんだか嫌な予感がする!!梨沙ここから離れるぞ!!」
叫ぶように聞こえる声の状態から涼ちゃんも相当余裕が内容だ、わたしもこのままだとまずいと頭の中で警報が鳴り響いている。
「くそっ!!この手を離せ!!」
涼ちゃんがいまだ左手に捕まっている変な人の手を振りほどこうとするけどなかなか放してくれないようだ。
光が強まる中で涼ちゃんは振りほどくのをあきらめたのか今度は私を掴んでいる方の腕をすごい力で引き寄せると涼ちゃんの首元に顔をうずめる状態になった私の耳もとで『ごめん、梨沙。』という言葉が聞こえる。
「え?」
呆然と聞き返した私の体は次の瞬間にはまばゆく輝く光の柱の外に押し出された。
咄嗟に涼の腕につかみかかろうとするけど光の柱がひと際眩しさを増し目を開ける事も出来ない状態になり、次に瞼を開けた時、そこには何も存在していなかった。
眩しい光の柱も変な布切れを羽織った人もわたしの最愛の人の姿も何もかも無くなっていた。
「え?涼ちゃん…?ねぇ…どこ行っちゃったの?冗談なんでしょ?直ぐ近くに居るんだよね!?」
辺りを見渡して声を張り上げる。
「涼ちゃん!!冗談なんだよね!!早く出てきてよ!!もうすぐお昼だよ?お腹すいてるでしょう?あたしお腹すいたから早くご飯食べに行こうよ!!」
立ち上がって辺りを手当たり次第に探し廻る。
「涼ちゃん…ねぇ…返事してよぉ…」
暫く探し廻って全く見つけることが出来ない。左足が痛み出し歩き回るのがつらくなってくる。
まだ探していない地下4階のホームへと降りた時にとても大きな爆発音と同時に大きな振動があたしの体遅い体制を崩してホームから線路場へと落ちて倒れこんでしまった。それと同時に天井が崩れ多くの瓦礫がホーム上に落下してくる。あたしは咄嗟にホーム下の空間に痛む体を動かして無理やりねじ込む。暫くすると駅の崩壊は治まり辺りが静かになってゆく。あたしは左足と全身の痛みに耐えかねてそこでそのまま意識を失った。
--------------------------------梨沙View End--------------------------------------
2027年 1月9日 日本に初めて現れた『それら』は全部で12体、ニューヨークに出現した時と同様に円形に等間隔に並んだそれは大火力の攻撃力を有さない自衛隊ではなく在日アメリカ軍及び国連軍により排除作戦が実行された。のちに一般に公表されたのは気化爆弾の大量投入による巨大不明物体の殲滅であったが、実際に使用された爆弾は放射能物質の生成が極めて少ない水素爆弾が使用された。爆弾の効果は投下直下に居た『それら』は爆弾が発する高熱により蒸発、投下場所には深さ100メートル、直径400メートルのクレータが出来上がり、爆心地から3キロほどの範囲では熱線により人も物も焼けて影へと変わった。それより遠いも衝撃はや爆風により瓦礫となり東は皇居を超え東京駅まで迫り、西は環状8号線の辺りまで衝撃が到達した。『それら』が現れた際に国民保護アラートにより避難指示が出されたとはいえ全く人的被害を抑える事が出来たわけでは無かった。物的被害は直ぐには復旧が難しいほどのダメージを受け、人的被害に関しては死傷者約10万人、負傷者を合わせると30万人にのぼった。辛くも『それら』が動き出す前に殲滅する事が出来たが、作戦要綱を全体から見た際に物的・人的被害の膨大さに疑問を残す作戦だった。
国政を司る国会議事堂及び防衛相も水爆の影響範囲内であったため政府機能は立川災害対策本部予備施設へと移行していたが、多数の国会議員に欠員が出たため内政は大混乱に陥っており、臨時政府の確立により何とか国としての体を保っている状態である。そんな中、自衛隊、警察庁、消防庁の連携により爆心地付近の救助・復旧作業が開始されたのは2日後の事で、3日目までに救助され存命だった人間は全体の0.01パーセントに満たない25人であった。その中に『御神楽 梨沙』の名前のみが存在し『秀嶋 涼』の名前は存在しなかった。
------------------------------------ここまで-----------------------------------------------
この小説に出てくる人名、組織名は全てフィクションです。
同名の人物、組織が有っても全て関係の無いものですのであしからず。
New world war @meso10
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