リスト6(No.049~No.052)短編向け編
※このリストは、『小説の書き方本を108冊読んでわかったこと』のリストの一部です。本編は以下のURLをご参照ください。
https://kakuyomu.jp/works/16818093082304773813/episodes/16818093082680236247
No.049
『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』
田丸 雅智 著 2020 WAVE出版
感想:
自ら「作家」でなく「ショートショート作家」を名乗られていることからもわかるように、ショートショートへの情熱にあふれる作家さんの一冊です。実際に講座を開催されて、初めての方でもショートショートを書けるところまで導いておられるということで、非常に丁寧でわかりやすい書きぶりの本です。
そのメソッドもなかなかユニークで、実にシンプルです。私もやってみましたが、自分でも思っても見なかった題材が出来上がったりして、楽しいです。
文章技術などは趣旨に入っていませんが、とにかくとっかかりとしては十分なワークだと思います。
No.050
『言葉の舟 心に響く140字小説の作り方』
ほしおさなえ 著 2024 ホーム社
感想:
Twitter (X)で140字の小説を(本書執筆時点で)10年以上書き続けてこられた方の著書です。
最初に紹介される1作目の小説で一気にその世界に引き込まれます。優しい感性をお持ちであることがすぐにわかり、いくつかの作品を読むにつれそれははっきりしていきます。仰天のどんでん返しやショッキングな事件はありません。ほとんどの小説が、「日常の気づき」や「自分の中にある気持ち」を言葉にし、それを物語の形で表現するということでできています。
後半では、実作講座や他の方の作品の解説が展開されるのですが、そこではただ優しい目を持っているだけではなく、冷静で客観的な目をお持ちであることが明らかになります。これは、140字という制限をもった形式にとって特に有効なのだと思います。
体系的な技術書を標榜しているわけではなく、実践を通して学んでいくスタイルです。そのテクニックは、「日常の気づきから自分を見つめる」「身近な謎にひとあじ加える」「精緻な描写で奥にある感情を描き出す」等、さまざまですが、140字という、だれでも創れる(創れてしまう)文章を、いかに思いが伝わるように創りあげるか、という一点に集約されていくようです。
文字数制限のない小説にももちろん参考になりますが、慣れた方向きかもしれません。
No.051
『原稿用紙10枚で人生を変える小説トレーニング』
草薙 渉 著 2018 夜間飛行
感想:
原稿用紙10枚程度の作品を書くことで、初心者には導入になり、長編を志す方には練習になり、どちらでもでないに方はそれ自体が楽しい、という趣旨になっています。
ポイントとなる箇所が太字処理してあり、挿絵があるという体裁から、比較的ライトに読んでほしいという思いがわかります。「書き始める前に」「技術論」「実践編」と別れています。実践編ではご自身の作を掲載し、どんな技術が使われているのかなどが随時解説されます。
全編通して、こうでなければならない、こう書くべからず、といった書きぶりはほとんどなく、柔和な口調が目立ちます。小説を書くことは、書くのも読むのも楽しいものである、という基本的な姿勢が伝わってきます。
個人的には、文体に関する記述が非常に腑に落ちました。
No.052
『「悪魔のささやき」で書く短編小説』
わかつきひかる 著 2023 雷鳥社
感想:
ライトな語り口から繰り出される、実践的なストーリーライティングのノウハウの波です。作家さんでもあり創作教室の講師でもいらっしゃる方、ということで、教え方のノウハウも積んでおられるようで、わかりやすさは一級品です。
課題という形でワークが出されており、これが絶妙に「頭を使わないと書けない、頭を使えば書ける」の連続で、本当に創作講座を受けている気分です。
書名にも登場する「悪魔のささやき」は星新一のショートショートのタイトルでもあり、本書ではパターンの象徴的な名前として用いられます。
ライトな作風、オチを楽しむ作風の短編小説を書きたい方にぴったりだと思います。
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