あの空をもう一度

ミズノ

1話完結


部活終わり、友達と歩いた帰り道の空、今でも忘れない。


ピンク色の夕焼けと青空が混じった、非現実的な美しい空で、嫌な感情を全部吸い込まれてしまうような暖かい空だった。

間違いなく生きてきた中で1番綺麗だと心から思った。


写真を撮りたいなんて思わなくて、ただ友達と綺麗だねって共有して、その時間が幸せだった。


それから半年、私は部活を辞め、精神的に壊れてしまい、転校してしまった。

あの空は見れなくなった。


ある日、友達から空の写真が送られてきた、あの日綺麗だと言った空と似ていたのに、何故か綺麗だと思えなかった。ただ、目から涙が零れ落ちた。


それからまた1年が経った卒業式の日、友達に会いに1年ぶりに学校に行った。

帰り道の空はあの日と同じように綺麗で、この日はスマホを持っていたけれど、ただ友達といるこの時間を目に心に焼き付けたくて、そんなことは忘れていた。

私はこの時、空が綺麗だと確かに思った。

あの写真が綺麗だと思えなかったのは、涙が零れたのは、私が欲しかったのは写真ではなく、この空間だったのだ。


2024年8月、今、卒業式の日から会えずにまた2年経ってしまった。

会いたいと思うけどどこか小っ恥ずかしくて、話していないし、会えていない。


私は、2年後上京する


それまでにあの空をまた友達と見れるのだろうか。

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あの空をもう一度 ミズノ @ikiterunoni

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