第3話 かかって来い
ザッザッザッザ
枯れ葉が入り混じった道を彼は歩いて行く。
ガチャッ
マガジンを銃の中に入れる。
「ここか。」
大きな館の前で織田作は歩みを止めた。
ドアの手すりに手を掛け、軽く引く。
「……。」
(少し重い。罠が仕掛けられているな。)
重さ、そして彼らの思考を読み、織田作はドアから少し離れ、コートのポケットが手榴弾を取り出す。
(結構な確率で爆発物だろう。だが精々ドアを破壊する程度のもの……、こけおどしに過ぎないだろう。)
ピンッ
栓を抜き、地面に転がすように手榴弾を投げる。
ドアに軽くコツンと当たった瞬間
ドゴン!
周囲に音が鳴り響いた。
土煙が舞って目隠しになっている隙に、壁に隠れる。
ガガガガガガガガガガガガン!!!!
マシンガンと思われる銃声と弾が空を切る。
鳴り終わった瞬間、滑り込むように館内に入り
パパァン!
二人を撃ち殺した。
「こんなものか。」
背後に敵がいることに気づいたのは踵を下した時だった。
パン!
上体を仰け反り、相手の射程範囲外からなんとか外れた。
銃口を相手に向け、撃つ。
ガァン!
弾が敵の銃の銃口に入り、鈍い音がした。
「ぐっ……!くっそ…!」
相手の手からは血が滴り落ちていた。
その一瞬を逃さず懐に入り、ナイフで喉を切り裂いた。
ゴシュッ!
浴びた返り血が夕日に照らされ、ワインレッドのように見えた。
コツコツコツ
織田作は歩みを進め、どんどん中に入っていく。
右手に銃、左手にナイフを持ち、全方位を警戒している。
カツカツカツ
トッ。トッ。トッ。
後ろから何者かが歩いてくる。
織田作はすぐさま後ろを振り向き、銃口を相手の頭に定める。
「おぉ、危なっかしい人だ。すぐこちらに銃を向けるだなんて。」
「誰だお前は。」
男は深く被っていたフードをとり、自己紹介を始めた。
「私はモニカというものです。組織では…、まぁ伝言役みたいなものです。それで、指揮官から伝言が。」
「なんだ。」
「えー…。『この国で最強の殺し屋よ。あと1時間30分で私のところにたどり着けなかったら、貴君の弟は殺す。せいぜいあがけ。グリムリーパー指揮官、シャル・スファレライトより』」
パァン!
チッ
織田作の弾がモニカの頬をかすめる。
「あなたは強い。しかし、弟君が人質に捉えられているとベストは出せるのでしょうか。」
「うるさい。」
即答気味に織田作は言い放った。
「どうせお前ら全員殺すと決めていたんだ。伝言役だろうがな。」
一間おいて
「かかって来い。殺してやる。」
「私は別に死にたいわけではないのですが…。まぁいいでしょう。付き合ってあげます。」
そう言うと、モニカは腰からナイフを抜き向かってきた。
パァン!
銃を撃つが体をひねりよけた。
(なるほど。なら…。)
織田作はナイフと銃を持ち替え、モニカに接近した。
ヒュッ!シュッ!スァッ!
互いのナイフが空を切る。
「中々やりますね。まぁジャップ最強の殺し屋が私程度に殺されたら期待外れなのですが。」
そう言い、モニカは刺突を繰り出してきた。
ガッ!
織田作はその手を掴み、ナイフで手首を刺した。
「グッ!」
モニカが悶えたその隙に織田作は顔にハイキックを入れた。
ドッ
モニカが倒れる。
今の蹴りで折れたのか、鼻が曲がっている。
織田作は馬乗りになり、右胸にナイフを突き立てた。
「ガァァァ!」
モニカの声が広がる。
「ハァ…、ハァ…、さすが、ジャップ最強ですね…。ここまで、っん、っとは…。
ひと、おもいに…、やってください…。」
あぁ
そう言って、織田作は頭にナイフを突き立てた。
ワインレッドに愛されて 識 @shki
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