第2話 死神

 「グリムリーパー、死神ってことだな。」

 「死神?」

 織田作は、ブーストで小鳥遊にさっきの人物の話をしている。

 「あぁ。英語だと死神って意味だ。確か、どっかの国の暗殺部隊の名前だったような気がする。噂程度だと思ってたけど。あんたが勝てたんだったら、案外噂程度の強さなのかもな。」

 「暗殺だったら、正面戦闘は苦手だろう。……それにしても死神か。」

 「何に引っかかってんだ?」

 「いや、随分安直で俗な名前だと思ってな。それに、あいつの表情‥‥‥。」

 相手にとっての死神というより、自分を殺してくれる死神を探しているようだ。

 「なにがあるか知らないが、精々死ぬなよ。お前はうちの常連なんだから。」

 「分かってるよ。」

 そう言うと、織田作は席を立ち、店から出て行った。


 リリリリリ リリリリリ

 『はい。』

 「織田だ。」

 『織田作か。なんの用事だ?』

 「多分近々でかい戦闘が起こると思う。武器を調達したい。」

 『何がいい?』

 「ナイフを三本、銃はMEUピストル、デザートイーグルを二丁ずつ、サブマシンガンのMP5を一丁、マガジンは」

 『いつも通り五個ずつだな。』

 「あぁ、助かる。」

 『しかし久しぶりだな。お前がこんなに買うなんて。』

 「グリムリーパーという組織に狙われてな。さっきも言ったが戦闘が始まる前に武器を揃えておきたい。」

 『グリムリーパー?はっ、お前も厄介な組織に狙われたな。」

 「何が厄介なんだ?」

 『暗殺専門、アサシン最強、軍人上がりがごろごろいるって話だ。』

 「小鳥遊に聞いた話とはずいぶん違うな。」

 『小鳥遊?あぁ、あいつはダメだ。情報弱者すぎる。もうちょっと情報を集めろと忠告しておいてくれ。』

 「分かった。」

 『…死ぬなよ。お前はうちのお得意様だからな。』

 「あぁ。死ぬつもりは毛頭ない。それに、小鳥遊にも同じことを言われた。」

 そう言って、電話を切った。



 ガチャ

 ドアを開け、中に入る。

 電気を付けると、めちゃくちゃに中が荒らされていた。

 「あいつら、どうやって俺の家を知った?」

 ここは織田作の家であり、また、弟も一緒に住んでいる。

 ふと床を見ると、地図がナイフで刺し押さえられていた。

 怒りでどうにかなりそうだが、深呼吸をして抑える。

 携帯を取り出し、電話を掛ける。

 『さっきぶりだな。どうしたこんなに早く。」

 「武器、明日までに届けてくれないか。」

 『できないことはないが、どうした?』

 「弟が攫われた。」

 『!本当か。』

 「あぁ。怒りでどうにかなりそうだ。」

 『わかった。明日だな。できるだけ早く届けるよ。』

 「頼む。」

 電話を切り、唇を噛みしめ、その唇からは血が出てきている。

 「チッ!」

 ドゴォ!

 壁を殴り、壁が凹んだ。

 「あいつら‥‥‥、絶対に許さん。」

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