第4話 街
城を出て俺たちは今車で街を走っている。この国では、車を運転するのに免許は必要ない。もっとも、車自体そんなに普及してないためだがそのうち乗る人も増えて免許制になるだろう。しかし、自分が運転する車に人、、、それも姫様を載せることになるとは思っても見なかった。もし、この状態で事故でもしたら、、、かながえただけでおぞましい、、、隣の姫様は車に載ってからずっとソワソワしている。居心地が悪いのだろうか、、何か話しかけないとな、、、。
「シャロン、きょうはまずどこに向かえばいい?」
「あっ、、そうね、まだ行き先を伝えてなかったわ。最初は朝食を食べにいきましょう。ここのカフェに向かって!」
そういいながらシャロンは、どこからか地図を出して指を刺した。
「わかった、、、シャロンは、このカフェには行ったことがあるのか?」
「いったことはないわね、この前友達に休日の過ごし方についてきたらお出かけの日は毎日カフェや喫茶店で朝食を摂ると話していたから。」
「そういうことか」
「二人だけで出かけて二人でご飯を食べるなんてとってもワクワクするじゃない!」
「そうだな、、、」
シャロンが目を輝かせながら話す。多分シャロンは一般的なお出かけに憧れているのだろう。シャロンはこれでも王女なのだから護衛や側近なしで街に出ることなどほとんどないに等しい、そもそも街へ買い物へ行くこと自体ないだろう。そんなシャロンが自由に外へ出られるようになったのだ、喜ぶのも無理はないだろう。
「そういえばルカは何か欲しいものないの?せっかく街へ来たんだし何か見てけば?」
「欲しいものか〜、、、特にないかな、、、」
「え〜、なんかないの?学校で使う装具とかは?」
「装具か、、、そもそも俺の装具は特殊だからな、、、」
「た、たしかに、、、それは売ってないかもね、、、」
シャロンは俺の腰についている装具を見ながら落胆している。
装具とはわかりやすく言えば魔法の杖のことだ、装具なしでも魔法は発動するが実戦や高度な魔法を使う場合は装具を使用した方が効率が良い。装具は杖や剣、本などが定番だが稀にそうでないものもいる。自分の場合は拳銃を装具として使用している。この国では銃を所持していても問題にならない、そもそも魔法使い相手に銃は通用しないからだ、今時銃を使うのなんか狩人くらいだろう。
「ルカの装具はなんで銃なの?銃なんか持ってても相手には通用しないんじゃないの?」
「ん〜、まーそうなんだけど、俺の場合は、魔法陣を書かないといけないからな、予め銃弾に魔法をかけて地面や壁に打つことで短縮しているんだよ。
「へー、今時魔法陣を使う魔法使いなんてルカくらいじゃない?」
「それもそうかもな、、、」
魔法陣を使用する場面は二つある、一つは魔法の基礎を学ぶ時だ。魔法陣とはいわば魔法の設計図だ。そのため、基礎を学ぶ際は魔法陣を読み解くことで性質や構造を理解することができる。これは学校などで毎日のようにやるだろう。そして、もう一つの場面は、魔法が複雑な場合だ、魔法はある程度のモノまでなら脳内処理や装具を介して処理をすることができる。しかし、高度な魔法には一つで千から一万ほどの魔法陣を組み合わせたものもある。そういうものを使用する場合はどうしても魔法陣を描く必要がある。そのため自分の魔法はかく手間を銃弾によって省けたぶん効率的な方だろう。
「シャロン、そもそも俺の魔法はこれでも国家機密レベルなんだから、気安く他人に話すなよ。」
「わかってるよ!も〜、、、すこしは信用してよ、、、」
「はいはい、、おっ!目的のカフェはここか?」
カフェが見えた途端シャロンは俺の魔法の話など忘れたかのように急かしてきた。
「早く車止めてよ!」
「はいはい、、、そんな急がなくてもいいだろ、、」
「早くごはん食べたいの!」
シャロンは俺が車から降りるのを待たずして店に入ってしまった。
「はあ〜」
傾国の人形師 〜最強近衛兵のお忍び学園ライフ〜 井場新津 @corratec
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