シスエラ小辞典

砂漠の使徒

初版

序文


 シスエラが世に出てから、今年で四年となる。改めて振り返るまでもなく、この作品は素晴らしく、後世に残すべき傑作だと言っても過言ではないだろう。しかし、どうだろうか。偉大な作品であるにも関わらず、解説をしている本がまったく存在していないのだ。そこで私は、砂漠書店の総力を挙げて辞典の作成を試みた。それがこのシスエラ小辞典である。

 今回取り上げた語は、シスエラの中でも特に重要なものだ。登場人物の名としては、主要な登場人物である主人公やヒロインに加え、作品の根幹に関わる人物も採用した。また、作品世界に関わる基礎的な要素についても解説を行った。ゆえに、この小辞典を読むことでシスエラという作品に欠かせない概念について理解を深めることができるだろう。シスエラを既に読んだ方も、これから読もうとしている方にも使いやすい辞典を心掛けた。しかし、残念ながら全ての要素を収録することは諸々の都合で厳しく、今回は見送ったものも数多い。ゆくゆくは、そうしたものについても解説した完全版を作成したい所存である。

 最後に、原作であるシスエラを執筆された砂漠の使徒様に最大限の敬意を払う。






【異世界転移もこれで百度目なので、最強の能力****で悪役令嬢やケモミミ娘や王女様とハーレム作りながらゆるーく世界征服を果たそうじゃないか】(いせかいてんいもこれでひゃくどめなので、さいきょうののうりょくであくやくれいじょうやけもみみむすめやおうじょさまとーはーれむつくりながらゆるーくせかいせいふくをはたそうじゃないか):物語の舞台となっているゲームの世界の商品名。ヘルプの商品説明より確認できる。

【管理人】(かんりにん):自らを管理人と称する人物。名前は不明。フードを被った少年のような見た目と表される。自称のとおり、この世界の管理を行っていると思われる。具体的には、チュートリアルの管理や佐藤のスキルの調整を行っていると本人は語っている。管理人と名乗るだけあって、世界に対してあらゆる力を行使できる言わば神のごとき存在である。実際に、佐藤やシャロールからの要望を叶えたこともある。なお、ヘルプには彼への直通の電話番号が記載されている。

【佐藤太郎】(さとうたろう):登場人物の一人で、主人公。物語は彼の一人称視点で進行する。勇者として世界の救済を求められ、その道中でシャロールを含め多くの人やモンスターに出会いながら冒険を進めていく。

【シャロール】(しゃろーる):登場人物の一人で、ヒロイン。暗めの青い髪に金色の瞳、そしてグレーの猫のような耳と尻尾が特徴的な少女である。年齢については不明だが、佐藤は中学生くらいと推測している。活発で明るく、初対面の佐藤にも恐れることなく話しかけている。物語序盤で佐藤と出会ったころは、とある事情により望まぬ残酷な行動をしているが、根は優しい。そのことは、彼女が自身のスキルを使ってモンスターとの会話を試みていることからも読み取れる。しかし、ときには己のことを顧みずに動くこともあり、危なっかしい一面も見られる。また、彼女の慈愛の精神は共に冒険する佐藤にも少なからず影響を及ぼしており、勇者としての一つの取るべき道を示したと言っても過言ではないだろう。作中では、主人公である佐藤と彼女の恋愛(ラブコメ)風な描写もファンからは人気が高い。お互いにどこか抜けているところがありながらも、決めるときはしっかり決める二人のもどかしく甘酸っぱい描写は必見であう。なお、こうした恋愛要素は作者の砂漠の使徒によって、本編のみならずいくつかの短編によっても描かれている。ほかに、シャロールを語るうえで欠かせないのが、その人間離れした耳と尻尾である。作中では特に説明されることはない。だが、彼女の父にも同じような耳と尻尾があることはわかっている。また、目は猫のごとく暗視に優れている描写が存在する。最後に、シャロールは砂漠の使徒の作品で最も絵に描かれたキャラとして有名である。なにより作者の溺愛により、多くの絵が描かれている。また、ファンの間でもシャロールを描く者は後を絶たない。

【スキル】(すきる):作中において、個々人が持つ特別な力。自らのスキルがなんであるかは、冒険者登録をした際に明らかになる。具体的には、登録をしたギルド内のとある部屋でスキル鑑定をする。特殊な鏡の前に立つと、現在所有しているスキル名が文字となって現れる。スキルについては、ステータスからも確認できる。なお、鑑定やステータスの確認ではスキルの詳細について知ることができない。ゆえに、スキルを使用していく中で理解するしかない。また、スキルは使用した場合スキルポイントを消費し、スキルポイントがなくなるとスキル切れを起こして体調を崩すことになる。

【ステータス】(すてーたす):右手を上げ、左手を下げた状態で目を閉じながら「ステータス、オープン!」と叫ぶことで出現するウィンドウ。自身のスキルや所持アイテムを確認、使用できる。アイテムは種類によって色分けがされており、武器は赤に、防具は緑に、その他は黄になっている。また、レアリティが高いものが上にくる。なお、佐藤のアイテム欄は不具合により、アイテム名が文字化けしている。

【チュートリアル】(ちゅーとりある):物語の最初で、佐藤が挑戦するステージ。部屋に入ってくるナイトの指示通りに行動しない場合、剣で刺されて最初からとなる。最後まで指示された通りに行動すると、チュートリアルをクリアしたことになり終了する。

【なし】(なし):佐藤太郎の持つスキル。スキルを選択して、宣言すると発動できる。その際、宣言の末尾には「ない」を付けなければならない。条件を満たすと、宣言したことを否定する事象が発生する。具体的には、「リンゴがない」と宣言すると、それが否定され、リンゴが出現する。これはおそらく、「リンゴがない」の否定が「リンゴがある」になったためだと推測される。これらの裁定は、管理人により行われているため、理論の詳細は不明である。なお、条件を満たしていても発動しないことがある。その場合は、その事象を引き起こすことが不可能な場合である。不可能な理由は、管理人の都合や世界の仕組みによるものが挙げられる。

【ヘルプ】(へるぷ):「ヘルプ」と叫ぶことで出現するウィンドウ。ステータスの出し方や町の地図まで、冒険に役立つあらゆる情報が載っている。

【話術】(わじゅつ):シャロールの持つスキル。使用すると、あらゆるモンスターと会話できるようになる。会話する際は、そのモンスターが発しそうな鳴き声を口にする必要がある。モンスターとの会話中、その内容は他人からは確認できず、シャロールもモンスターの鳴き声を出しているように聞こえる。


シスエラ小辞典

発行 2024/8/2

編者 砂漠書店シスエラ小辞典編集委員会

発行 砂漠書店

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