丸太使いは無双する

第3話 運命の出会い

アレクは森の奥深くで、馬に乗って逃げる美しい女性を見つけた。彼女から数歩後ろには、きらめく鎧を纏った騎士たちが追いかけてくる。

「助けて！」

女性の絶叫が木々を抜けて響き渡る。アレクは迷わず、巨木から切り出した丸太を手に取った。ごつごつとした樹皮が手のひらに食い込む感触が、彼の闘争心を掻き立てる。

騎士たちは、アレクを無視して女性に近づこうとする。しかし、アレクは一歩も引かない。地面を踏みしめ、構えを取る。彼の瞳は鋭く輝き、丸太はまるで彼の体の一部と化したかのようだった。

先頭の騎士が、大きな斧を振り上げてアレクに襲いかかる。アレクは、斧の軌跡を目で追う。そして、わずかな隙を見つけて、丸太を振り抜いた。

「グガッ！」

騎士の斧は、丸太に打ち砕かれ、男は悲鳴を上げて後ずさる。しかし、他の騎士たちは容赦なく攻めてくる。剣が光を反射し、矢が空気を切り裂く。

アレクは、まるで嵐の中に立っているかのように、次々と襲い来る攻撃をかわす。丸太を盾のように使い、剣を防ぎ、矢を払い落とす。彼の動きは力強く、無駄がない。

特に印象的なのは、一人の騎士との一騎打ちだった。その騎士は、他の者よりも大きく、力も強そうだった。男は大きな剣を振るい、アレクを圧倒しようとする。

アレクは、相手の攻撃の隙をじっと見計らっていた。そして、一瞬のスキを捉えて、丸太を地面に突き刺した。地面が大きく揺れ、騎士の足元が崩れる。バランスを崩した騎士は、そのまま地面に叩きつけられた。

アレクは、残りの騎士たちを次々に倒していく。彼の動きはますます速くなり、まるで嵐の中で舞う葉っぱのように軽やかだった。

ついに、全ての騎士を倒し、森に静寂が戻った。アレクは、地面に倒れている騎士たちを見下ろした。彼らの目は死んでおり、顔には恐怖の色が残っていた。

アレクは、初めて人間を殺したという事実に、複雑な感情を抱いた。だが、同時に、女性を助けられたという達成感も感じていた。

アレクは、意識を失っていた女性をそっと起こした。彼女の美しい顔には、まだ恐怖の影が残っていた。

「大丈夫ですか？」

アレクの声に、女性はゆっくりと目を開けた。彼女の瞳は、アレクを見つめていた。

「あなたは…」

「アレクです。覚えていますか？」

女性はうなずいた。「あなたが私を助けてくれた。ありがとう。」

ひとまず家に行きましょう。