第3話 完結する物語。
季節は晩秋、冬の寒さが少しずつ感じられるのであった。とある日曜日に長谷川さんからメールが届く。
『温かスパッツを買いに行こうよ』
私と長谷川さんは友達である。ここは仕方がない、一緒に行くか。
リビングに向かうと、母親に総合スーパーに行きたいと言うと……。
「危険だからダメです」
と、言われる。この平和な街でどこが危険なのか疑問に思う。私は友達と約束したのと切り替えす。
「ダメです」
「家の中に引きこもっていたら、貞子みたいに成っちゃうよ。髪は前髪も長く白いワンピース姿のみで体育座りの恰好で部屋の隅にて独りでいるのだよ」
「……、暗くなる前に帰って来なさい」
ふう~
高校生になっても、この扱いは過保護そのものであった。そして、私は自転車で総合スーパーに向かう。
それから、総合スーパーに着くと電話をかけて長谷川さんと合流する。
「温かスパッツ売っているかな」
私は急ぐ長谷川さんを押さえてWバーガーでご飯にしたいと言う。流石に自転車は疲れるのであった。
ここは休憩としよう。
その後。Wバーガーで食事の後、私は少し回復したが、やはり、重たい体を引きずりなから、インナーコーナーに向かう。
「温かスパッツあるよ」
長谷川さんは喜んでいるがレギンスの方がいいと思う。そんな事をレギンスの前で考えていると。
「女子ならスカートでしょう」
確かにスカートならスパッツの温かさが最大限感じられる。そこはタイツではダメなのかと疑問に思うが深く考えないでおこう。結局はスパッツをレジに持って行く途中でチェックの赤いスカートに目が止まる。
これか!!!
私は運命の一品にたどり着いた気分だ。丈もスパッツにピッタリだ。予算オーバーだが迷いは無かった。
ホント、家で貞子してなくて良かった。
夜。
私は自室にてノートパソコンで執筆していた。えーと、主人公のココは階段の踊り場にある鏡の中に吸い込まれる。
……。
そこは夜の学校であった。ほほ~う。誰も居ない校内とな。ココは普段入れない生徒会室に行ってみる事にした。生徒会室のドアに手をかけると。よし、鍵は開いている。ココは電気を付けて中を確認する。以外と綺麗にしているな。調子に乗って生徒会長の椅子に座る。それはただのパイプ椅子であった。うむ、それでも偉い人になった気分にはなるな。
次は職員室だ。
イヤ、第一相談室にするか。あの部屋も担任の紹介がないと入れない。週に一度、スクールカウンセラーがやって来るのだ。
……。
ふう~、こんな感じで良いのか?
夜の学校には妖精さんが居てたわむれるストーリーにするか???
私は頭をかきなら長考するのであった。
『まるで気分はトカゲの頭』
『まるで気分はトカゲの頭』
私は登校中に自転車をこぎながら鼻歌を歌う。そう、上機嫌なのである。何故ならば執筆作業が進み。一話アップの可能性が出てきたからだ。
プロット?知らね。初心者にそんなモノは要らないのである。
私は形から入らないタイプなのだ。狙いは一万文字以下の新人賞である。ふふふ、今からサイン練習をしないと。そんな事を考えながら自転車に乗っていると高校に着く。おー、今日は十分も早く着いた。
『まるで気分はトカゲの頭』
そして、教室に入ると自席に着き。一話ぶんのアップの内容を確認する。
おおお、私って天才と……。完全に自分の世界に入っていた。
結局、鏡の中の空間は誰も登場せず。全ての部屋の鍵が開いている状態にした。そう言えば、来週の日曜日に花火大会があったな。
天候不順なる大人の事情で夏の花火大会が順延になっていたモノだ。その花火大会はこの高校の近くで行われる。長谷川さんを誘ってみるか。
昼休み、長谷川さんとご飯を食べていると。
「ねえ、来週の日曜日に花火大会に一緒に行かない?」
「ゴメン、その日はスポーツチアの大会があるの」
ギッビン!
友達と花火大会に行くのは初めてなので楽しみにしていたのに……。
「なら応援に行くね」
「残念、部活の皆とバスで他県まで行くの」
痛恨の一撃!!!
私は必要とされてないのか?
その夜、私は執筆の時に余りのショックでココを開かずの屋上への入口に向かわせ一人で花火大会を鑑賞するストーリーを書くのであった。
『バキ』
ココは花火大会の途中で柵が壊れて屋上から落下してしまった。
あれ?!主人公死んじゃった。これは困ったぞ。
よし、夢落ちだ!!!
主人公のココは無事に夢から覚めたとさ。
『完』
私は泣きながら長谷川さんにメッセージを送る。最悪の展開にしてしまった私はどうしたらいいか分からず、嘆きのメッセージを送ったのだ。
しばらく、メッセージ交換をしていると。小説に正解はないとはげまされる。
でも……『橘 美彩』みたいに凄い文章は書けない自分が嫌になる。私は最悪の朝を向かえるとノロノロと学校に行く支度を始めるのだ。
授業中、私は浅い眠りについていた。最悪の結末をむかえた自作小説の改変を試したが何もアイデアが出なかった。結果、遅くまで起きていて今にいたる。
私は微睡の中でも必死にアイデアを探していた。気がつくと午前の授業が終わり、長谷川さんが私を起こしてくれた。
「
ダメだよ、私の限界だよ」
私は長谷川さんに泣き言を言うと。
「私を一番目の読者にしてくれないかな?」
確かに話は完結している。一話目も下書きのままでアップはしていない。
私はスマホを長谷川さんに手渡すと自作小説を読んでくれた。
「いいの?自分の小説を執筆する時間だよ」
「かまわない、私の親友の書きおろしだ。読むのが当然だ」
しばしの沈黙が続き。
その後……。
「この主人公は魅力的だよ」
長谷川さんは笑顔で答える。
「嘘、突然、死ぬし、そこを夢落ちで終わらせるなんて最悪だよ」
「確かに問題も多いけど、この主人公は輝いている。この輝きは誰でも出せるものじゃない」
「そう……?」
私は試しに投稿アプリに公開してみる事にした。直ぐに足跡が付き、私の小説が読まれていた。
う、嬉しい……。
『心から愛すべきは親友に支えられて輝き残す』
私はプロフィールに、今、思い付いた言葉を載せる。
それは作家人生の始まりを告げるものであった。
作家に憧れて。 霜花 桔梗 @myosotis2
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