第31話 新学期と転校生
蝉の鳴く二学期の始め。木田達の中学校は夏休みを終えて新学期が始まりました。
夏休みの四人での旅行は台風で流れてしまった。中田、小水、本気、木田の四人はフラストレーションを溜めながらも地元で遊べたので、まあ、楽しかった夏休みであった。
木田は初日、登校中に一人の女子とぶつかった。うちの学校の制服。見慣れない子だ。その子は木田の顔を覗き込み少し微笑むとすぐ走って行ってしまった。
学校に着く木田。中田と小水はいつも通り口喧嘩していた。仲が良い。本気さんは少し遠くの机から木田をチラ見して微笑んでいた。
チャイムが鳴り先生が来る。
「おーい、転校生だぞ! 喜べ!」
先生はご機嫌である。木田はあまり気にしない。ボーイッシュな青髪子が出てきた。男子のような服装だが顔つきは女子だ。彼女の自己紹介が始まる。
「私が青泉 木雫(あおいずみ きしずく)だッ!! 喜べ!! 私はこう見えても女子だ!! 戦いたい奴は申し込んでくれると嬉しい!! よろしく!!」
木雫は木田に気づくとウィンクをした。木田は何が何やら分からず自分ではなく近くの女子にしたものと捉えるようにした。
そのあと二人目が慌てて入ってきた。遅刻したようだ。その子はピンク髪のロングヘアー。小さめのお団子を二つ結びこちらを恥ずかしげに見てくる。
「わ、私は土田歩美(つちだ ほみ)。りょ、料理が得意です。よろしくお願いします。」
木田は土田さんをぼーっと見ていた。朝ぶつかった子はあの子だったと気づいた。土田さんは木田の隣の席に座った。
土田は木田に微笑みかける。手を口にあて小声で囁く。
「やっと、やっと会えましたね。私の勇者様!」
そう、囁かれると木田は涙が止まらなかった。土田も涙を目に溜めていた。木田には異世界での記憶は無い。それでも運命を感じ取った。
二学期は友達グループが六人になった。まだ夏は終わって無かった。
完
勇者ダンと魔物少女ポミ。囁き少女達。 猫スラ 雅人 @kameokatawata
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます