第14話 予選前テスト
ぬばほっ! 寝たと思ったら起きるこの感覚はやっぱり慣れないよ。そんで毎回、五年一組の前の廊下なのね。
「おはようなのじゃミッちゃん」
『おはようございます、ミチカ』
ん? なんかリリ先生、雰囲気変わった? 気のせいかな。ちょっと昨日より柔らかくなったような……。
『ミチカ、さっそくですがご報告です。現在、システムの不調により一部のプロテクト機能に問題が発生しております。安全を確保するために、本機としてはリタイアを
なぬー!? いきなりどういうこと? 全然柔らかくなかったよ! リタイアってなに? ここでおしまいってこと?
「リリよ、そこまで状況はよくないのか? 確かに少々厄介な気配は感じるが、おぬしがおるなら、どうにかなるのではないか? ウチはもっとミッちゃんと一緒におりたいぞ」
「そうだよ! せっかく仲良くなれたんだから、わたしももっと二人と一緒にいたいよ! リリ先生も同じだよね?」
『……』
スマホを両手で持って一生懸命話しかけてみるけど、なかなか返事がかえってこない。リリ先生、なんでそんなことを言うのさ?
『……わかりました。できる限りの対策は行います。ただし予選を勝ち抜かなくてはどっちにしろサービスは終了になりますので、その点はご理解ください』
え?
『ちなみにツクモン殿はランクFですので、予選前に事前テストを受けていただく必要があります。こちらもクリアできなければサービス終了です』
え?
『ちなみに過去のデータを
え?
「てへへ。ほれ、初めに言うたじゃろう? なんの力も持っとらんと。じゃから、ミッちゃん、たよりにしておるぞ!」
えー! なんか思ってた感じとちがう展開だよこれは。自分からリタイアなんかしなくても、すでに結構ヤバいってこと?
『事前テストもランクFで通過したケースはほぼないようです。簡単にいえば、リタイア寸前というところですね』
「うむ。頑張りがいがあるのう!」
いやいやいや、「うむ」じゃないでしょ!
「ちなみにサービス終了とかいうのになると、どうなっちゃうの?」
いや、なんとなく想像はつくんだけど……。
『あやかしバトル夜十時、およびあやかしに関するすべての記憶がリセットされ、元の生活に戻ります。現実での生活に支障が出ないよう、記憶の抹消は責任を持って
やっぱりぃ! 全然ご安心できないよ! リリ先生が言うと、ホントにきれいさっぱりぜんぶ忘れちゃいそうだよ! ダメだよ、寂しいでしょうが! リリ先生を説得するためにもまずは時間をかせがないと。
「ツクモン、とりあえず事前テストとかいうのを頑張るよ!」
「うむ、たのんだのじゃ、ミッちゃんよ!」
な、なんてたよりないんだ、ツクモンよ。
『話はまとまりましたでしょうか? では、さっそく事前テストを開始していきましょう。事前テストはランクD以上のあやかしを一体討伐していただきます』
えーっと、ツクモンがFなんだよね? これはアレだよね、Aに近づくほど弱くなるってことでいいのかな?
『逆です。Aに近づくほど強力になります。ツクモン殿がFですから、その上のEの、さらにそのまた上のクラスに位置するランクDのあやかしを討伐してもらいます』
つまり、アレだろうか? 私は五年生だけど、六年生じゃなくて中学一年生と戦って勝たなきゃいけないってことだろうか? え? むりじゃない?
「おお、さすがミッちゃん! いい例えなのじゃ! そうじゃ、中一のあやかし坊やをコテンパンにしてやればいいだけなのじゃ! なっはっはー! それにミッちゃんよ、ランクなんてものでウチらを測ろうなんて、バカらしいと思わんか? 学校の成績だけがすべてじゃないと証明してやろうではないか!」
うん。最後ちょっと勢いでディスられた気がしないでもないけど、でもさすがツクモン! よーしやる気が出てきたよ。
パリンッ!
え、なんの音?
『な!? どうして!?』
ど、どうしたのリリ先生? そんなに焦った声をあげて……。
「ミッちゃん、警戒せよ!」
ツクモンまでどうしたっていうの!? あ、あれ? 周りの景色が、私たちの教室が歪んで見える。気持ち悪い……なに、これ?
パリンッ!
またこの音!
あれ? 目の前の床にヒビが入ってる? それになに、この押しつぶされるような感じは。
『……障壁を突破されました』
床のヒビが大きくなって、そこからサッカーボールくらいの黒い塊がでてきた。
これはもしかして……カラス?
なんか足が三本あるけど、カラスだよねこの子?
「いい夜だな、娘よ」
しゃ、喋った! しかも声がしぶい!
『ミチカ、警戒を。目の前の相手は、
「警戒など不要である。我はただの導き手。我が
『……ランクCのあやかしです』
ちゅ、中二がきちゃったよ!
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コメント本当にありがとうございます! 大変励みになっております。お返事が遅くなっていて申し訳ありませんm(__)m
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