第10話 VS十三階段
あのあと、わたし達はまた明日のお昼休みに同じ場所で集合することを約束してから解散した。
家に帰ったら、お母さんの書斎でツクモンがのたーんとくつろいでいた。「ごめん、お母さん、ツクモンがお仕事の邪魔しなかった!?」と大声で叫んだら、「ツクモンは静かだったけど、ミチカが現在進行形で邪魔をしているわね」とお母さんにため息をつかれてしまった。ごめん、ウェブ会議中だったのね。画面の向こう側の大人達にペコリとしておこう。大人は会議ばっかりで大変だ。あーでもわたしも今晩はツクモンとリリ先生と作戦会議をしなきゃ。早く十時にならないかな。
◆
ぐばほっ! 寝たと思ったら起きるこの感じ、ちょっとびっくりするね。えっと、ツクモン? リリ先生?
「ミッちゃん、おはようなのじゃ!」
『あやかしバトル夜十時をご利用頂きありがとうございます。おかえりなさい、ミチカ』
会いだがっだよー、二人ともぉ!
「ミッちゃん、くすぐったいのじゃ。ぎゃー、鼻水がつくのじゃ、ちょっと離れてたもれ!」
『……それではチュートリアルを再開します』
え? なんか二人ともつめたくない? あやかしってそういうつめたさもあるの? そんなのはいやなので、ぐりぐりします。
「ぎゃー、ミッちゃん、タンマ! タンマなのじゃ!」
『……あいかわらず元気ですね。ミチカはあやかしが怖いとは思わないのですか?』
怖い? ツクモンやリリ先生を? 怖いとは思わないけど……。
『そうですか。いらぬことを聞きました、忘れてください。それでは今夜は十三階段を討伐していきましょう』
「そのことなんだけど、二人に聞いて欲しいことがあるの!」
わたしは二人に、ヒトミちゃんのことを話した。そして、できれば二年生のみんなに十三階段を信じさせてあげたいって言ったんだけど……。
「ムリじゃな」
『ムリですね』
がーん。なんでなのさ!?
「十三階段はそこにあるだけのあやかしじゃからな。もともと見えやすい者や、強い意志を持つ者が、ほんの一瞬その存在に気づけるかどうかというレベルなんじゃ。それは人間の世界では「勘違い」や「気のせい」として扱われるものであって、とてもではないが、集団に
……そっか。草って言ってたもんね。ちなみにわたしは今、その十三階段さんの上に座っている。今日も五年一組の前で目が覚めた(?)から、二人とお話ししながらここまで来たんだけど……んー、どうしたらいいんだろう?
「ちなみに、討伐ってどうやるの? それをしたらどうなっちゃうの?」
『それではそのあたりも説明していきましょう』
リリ先生の話をまとめるとこんな感じだと思う。
一、夜十時から十二時の間に、他のあやかしに対してバトルモードを宣言し、相手が受け入れると勝負がはじまる。
ニ、勝負の内容は基本的にランダム。
三、勝利条件を満たすか、相手が負けを認める、またはバトル続行不可能になるとバトル終了。
四、勝ったあやかしには討伐ポイントが与えられる。
んー、いまいちよくわかんないというか、なんとなーく、うまく誤魔化されているような気がするんだよね。こういう時にカオリンがいてくれるとモヤモヤしていることを言葉にしてくれるんだけど、わたしにはムリだ。よし、諦めよう。
「おお、さすがミッちゃん、
『十時から十二時までの間は本機がプロテクトしますのでご安心を』
そうなんだ。てへへ、なんかすみませんね。でも、そもそもなんで人間のパートナーが必要なんだろう?
「あやかしは、それを信じる人間がおるから存在できるんじゃ。ミッちゃんみたいな人間がおるから、ウチのような弱っちーあやかしでも頑張れるというわけじゃな……。そういう意味ではもしかすると十三階段もバトル次第ではなんとかなるかもしれんぞ?」
ほんとっ!? さすがツクモンだよ! あれ? そういえばさっきからツクモン、浮いてない? 昨日はずっと抱っこしてたから気づかなかったけど。
「なっはっはー、ウチも飛べるようになったんじゃ! これもミッちゃんが信じてくれたおかげじゃな。さすがはウチのパートナーじゃよ」
なんかよくわかんないけど、クマらしきナゾの生き物が空中を浮かぶ姿はかなりシュールだ。
『それでは十三階段とのバトルを宣言しますか?』
「うん! よくわかんないけど、なんとかなるならバトルするよ!」
『バトルを申請……成立。バトルの内容は「かくれんぼ」。本日夜の十二時までに十三階段を踏めば喜多ミチカ/ツクモンチームの勝利。踏まれることなく逃げきれば十三階段の勝利です』
かんれんぼ? なんか思ってたバトルと違うぞい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます